今後の高速道路事業を見据え 機構・会社フォローアップ検討会が始動

国土交通省はこのほど「高速道路機構・会社の業務点検フォローアップ検討会」を設置、第1回検討会を5月22日、開催した。同検討会は、2015年に実施した業務点検から10年が経過し、高速道路機構・会社の対応状況や高速道路を取り巻く情勢の変化を踏まえた取組状況等についてフォローアップすることを目的に設置。座長は根本敏則敬愛大学情報マネジメント学部特任教授が務める。

第1回検討会では東日本、中日本、西日本、本四4社のヒアリングを実施。4社からは計画的な更新を行うための課題として、維持修繕コストの増加する現状等が報告された。

資材価格、労務単価上昇の現状を報告

東日本は06年から24年までの18年間で、料金収入が1・3倍と伸びた一方、維持管理修繕費は2・9倍、修繕費に至っては10倍に増えた状況を説明した。

毎年、点検に伴う損傷が見つかり、補修が追いつかず残存損傷となる箇所が増加していることも報告された。労務費や資材費を含む管理費用が直近4年で大きく上昇。金利上昇により利払いが増加し、維持管理修繕費への充当が減っていることから、5年ごとの協定変更で5年間分の物価上昇見込みを反映させることと、安定的な維持管理修繕費の確保が提案された。

高速道路の維持管理について、中日本から橋梁の特定更新事業の進展状況が25年3月末時点で床版工事の契約率は53%、桁工事は52%であることが報告された。同社は物価と労務費の高騰、加速する構造物の老朽化や大雪対応の増加といった社会環境の変化から、事業費と財源を確保するための検討が必要と提案。併せてカーボンニュートラルの取り組みを推進するための財源の必要性も提案された。

西日本は、建設資材価格指数が20~24年度で約4割上昇、公共工事設計労務単価が12~24年度で約8割上昇している現状から、安定的な高速道路事業を運営していくため「財源の確保等の検討が必要」と提案。加えて、将来の建設資材・労務単価の変動に対応した高速道路のあり方の検討も求めた。

同検討会では6日、首都高速と阪神高速の2社と日本高速道路保有・債務返済機構のヒアリングを実施。今夏にも結果を取りまとめ、その成果を国交相の諮問機関、社会資本整備審議会の道路分科会国土幹線道路部会に報告することにしている。

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