政府は1日、国土強靱化推進本部で事業規模20兆円強とする国土強靱化実施中期計画の素案を示した。関係府省庁が積み上げた324施策のうち、2026~30年度の5か年で「推進が特に必要」な116施策を明示。災害に強い道路網を確保するため、高規格道路(約2万㌔)については、未整備区間約6000㌔の整備完了率を30年度に19%、84年度までに100%とする目標が示された。今後、素案についてパブリックコメントを実施し、6月の閣議決定を目指す。
1日の推進本部で、石破茂首相は「激甚化・頻発化する自然災害、切迫する南海トラフ地震など巨大地震による被害から国民を守るためには、インフラ老朽化対策を含め国土強靱化の取り組みのペースを緩めることなく、着実に推進していかなければならない」と述べ、6月の計画策定に向けた調整を進めていく方針を示した。
高規格道路など長期目標
実施中期計画の素案は、3月28日の国土強靱化推進会議で示された案に、事業規模と推進が特に必要な施策の目標数値を加えた。国土強靱化基本計画に掲げる▽防災インフラの整備・管理▽ライフラインの強靱化▽デジタルなど新技術の活用▽官民連携の強化▽地域防災力の強化――の5本柱に基づき計324施策、このうち「推進が特に必要」な施策に116施策を定めた。
施策の事業規模を5年間で「概ね20兆円強程度」とされた。資材価格や人件費の高騰分を予算編成過程で別途、計上することが明記。現行の5か年加速化対策で25年度予算でも3000億円計上された「国土強靱化緊急対応枠」のような形で対処するものと思われる。
道路関係の主な施策で見ると、災害に強い道路網を確保するため、高規格道路の未整備区間の整備完了率(23年度時点6%)を30年度までに19%、84年度までには整備完了を目指すとされた。
また、国や自治体が管理する道路橋梁のうち、緊急措置段階や早期措置段階の修繕完了率(同55%)は、30年度までに80%、51年度までには100%にする。