国土交通省は6月26日、高速道路機構・会社の業務点検フォローアップ検討会(座長=根本敏則敬愛大学情報マネジメント学部特任教授)の第3回会合を開き、NEXCO3社や高速道路機構などの直近10年間の取組状況を確認。今夏にも示す取りまとめについて、その大枠についても意見が交わされ、10年前のフォローアップの形式を引き継ぐとともに、カーボンニュートラルへの取り組みやインフラDXなど新たな視点等を盛り込んでいくことも確認された。
会合で示された事務局資料によると、東日本、中日本、西日本、首都高速、阪神高速、本四の高速道路6社の連結営業利益は約2200億円と堅調に推移。6社の経営状態は着実に改善しており、有利子負債の返済も進んでいる状況が示された。
高速道路整備は2015年度以降、398㌔が開通し、ネットワーク効果が発現されている一方で、約7割の区間が当初計画より遅れて開通。事業費は工程変更や労務費等の上昇もあり、約4100億円増額された。
暫定2車線区間の4車線化は、10年間で約613㌔に着手し約309㌔が完成したものの、未だに1400㌔が未事業化区間として残る。完成区間では渋滞の減少や安全性の向上など整備効果が発現しているが、事業費や事業期間が増大している事例も報告された。
大規模更新については23年の特措法改正後、6社合計で1兆5229億円の更新事業の追加があり、概ね順調に工事が進んでいる。
橋梁の耐震補強は、落橋・倒壊を防ぐ「耐震性能3」の対策が13年度に完了。橋としての機能を速やかに回復させる「耐震性能2」の対策は、24年1月にまとめた「高速道路の耐震補強実施計画」に基づいて進められ、24年度末までに完了率が約80%に達した。
懸念材料として、維持管理コストの増加が挙げられた。激甚化・頻発化する自然災害による補修対応の増加、雪氷対策の強化、労務費・資材価格の上昇等への対応が急務とされた。
これら取り組みを踏まえ、今夏の業務点検フォローアップ案に社会的課題解決に向けた取り組みとして「物流環境の改善」「カーボンニュートラル等の取り組み」「誰もが使いやすい空間づくり」「将来の社会的要請への対応」「技術開発の挑戦」の5項目を新たに設ける。加えて、ETCシステム障害を教訓に「安全・安心で確実なサービスの提供」として「システム障害等のリスクと高速道路運営のあり方」を盛り込むことも確認された。