国土交通省は、今後のインフラ整備の基本方針を定める「第5次社会資本整備重点計画」概要案をまとめた。21年度から5年間の重点目標として、近年頻発化、激甚化する自然災害への対応や老朽化対策など6つのテーマを設定。国や自治体、企業や住民とハード、ソフト両面から水害対策に取り組む「流域治水」等の推進のほか、災害時における交通機能の確保として高規格道路のミッシングリンクの解消、暫定2車線区間の4車線化、更には需要物流道路や三大都市圏環状道路等の推進も喫緊の課題として、19の政策パッケージの中に盛り込まれた。
概要案によると、持続可能で質の高い社会資本整備を推進する前提として、「安定的・持続的な公共投資の確保や、建設産業の生産性の向上や担い手の育成・確保に取り組む」としている。
その上で、安全・安心の確保、持続可能な地域社会の形成、経済成長の実現の3つの中長期的目的を掲げ、これを実現するため①防災・減災が主流となる社会の実現②持続可能なメンテナンスインフラ③持続可能で暮らしやすい地域社会の実現④経済の好循環を支える基盤整備⑤インフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション⑥インフラ分野の脱炭素化・インフラ空間の多面的な利活用による生活の質の向上――の短期的目標が掲げられた。
更に短期的目標ごとに19の政策が設けられ、それぞれに重要業績指標(KPI)で進捗具合を管理していくという。
災害時だけでなく、安全な移動・生活空間の整備として4車線化整備が盛り込まれたほか、ポストコロナを見据えた新たな人流の促進やサプライチェーンの強靱化で需要物流道路など広域道路ネットワークの整備、三大都市圏等の環状道路整備、スマートICの活用による拠点の形成等も促進していく。
概要案については、国交相の諮問機関、社会資本整備審議会計画部会と交通政策審議会交通体系分科会計画部会が8日のWEB会議で審議。3月には「第5次社会資本整備重点計画」の原案が出され、パブリックコメントの手続き等を経て、今春の閣議決定を目指す。