「高規格あり方」検討進む 国土幹線道路部会 中間とりまとめに向けて

[caption id="attachment_13842" align="alignleft" width="300"] 意見を述べる村井会長[/caption]

道路分科会の国土幹線道路部会(部会長=朝倉康夫東京工業大学名誉教授・神戸大学名誉教授)は8月29日、第57回部会を国土交通省内で行い、広域道路ネットワーク計画の策定方針等に向けた「高規格道路ネットワークのあり方」の検討状況が報告された。7月に示されたあり方の骨子案では、高規格幹線道路約1万4000㌔と地域高規格道路約1万㌔を一体的なネットワークとして再整理することが示された。部会では今後さらに検討を進め、中間とりまとめに繋げていく考え。

部会では、事務局が「全国の高規格道路ネットワークのあり方」の検討状況を報告した。物流危機や災害、人口減少などのリスクに対応するため、道路施策の方向性として①経済②物流③多機能化④観光――の4つの観点を設定。7月に閣議決定された新たな国土形成計画で掲げる「シームレスな拠点連結型国土」の実現に向けた取り組みを、海外事例などを踏まえながら提示された。

経済ではアジアの国内総生産(GDP)が成長している現状を紹介。高速道路の4車線化が完了した韓国で交通事故の死亡率が大きく減少している事例や、中国のハイレベル自動運転に対応した「スマートハイウェイ」の整備計画等が参考例として示された。

物流では「2024年問題」を見据え、スイスの地下物流システムなど海外で計画されている先進事例を紹介。既存道路の多機能化を含めた検討も視野に、活用区間や事業スキームなどが論点になるとした。

観光の観点では、北関東自動車道の整備により北関東3県の観光客数が増加したデータを紹介。高規格道路のネットワーク化により周遊観光が充実したなど、道路が観光振興に果たす役割の重要性が指摘された。

国際競争力の強化に向けては、羽田空港へのアクセス性を高める道路網の強化も必要になるとした。

今後、部会ではさらに検討内容を深め、高規格幹線道路と地域高規格道路を一体的なネットワークとして整備を進めていくための「高規格道路ネットワークのあり方」(仮称)をまとめることにしている。

村井会長 部会ヒアリングで ミッシングリンク解消提言

同日の幹線道路部会では、高速道路料金についてのヒアリングも行われ、全国高速道路建設協議会の村井嘉浩会長(宮城県知事)がWEB参加で意見発表を行った。
高速道路料金は2013年4月、「整備重視」から「利用重視」へ移行するため、①普通区間②大都市近郊区間③海峡部等特別区間――の料金水準が導入された。これが24年3月末に期限を迎えることから、部会では関係団体からのヒアリングを実施することにしていた。

全高速の村井会長は「3つの料金水準の導入により交通量や料金収入が増加し、一定の効果があった」とした上で、コロナの影響で交通量、料金収入が減少した状況を指摘。コロナ禍後の生活様式の変化や「2024年問題」等を踏まえた検証の必要性を提言した。

加えて村井会長は、高規格道路で全国約200区間のミッシングリンクが存在する現状、暫定2車線区間の4車線化の必要性を示し、「ミッシングリンクの解消と4車線化等の機能強化は急ぐべき」とした。

部会・今後の進め方(PDF)

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