事業費の増額リスクに対応 高規格道路の新規採択評価 道路分科会事業評価部会 25年度が運用

1月24日、社会資本整備審議会の道路分科会第26回事業評価部会が行われ、道路事業の新規採択時評価における事業費算定について、今後の取り組みを審議した。採択後の増額リスクへの対応を強化するため、事業化前の調査を充実し、そこで把握したリスクを踏まえて費用を計上するというもの。事業費の変動が大きい高規格道路を対象に2025年度の新規採択時評価から運用する方針だ。

道路事業では地質調査や設計の進捗、工事中の現場条件の変更等により、新規採択時評価に算定した当初事業費が増額する事例が発生している。全国361事業の事業費を分析したところ、中央値で13%、平均値で30%の増加が見られたという。

こうした事態を避け、より精度向上を図るため、事業化前の調査を充実。

これまで事業化に実施していた調査を前倒しするなどして事業費の増額を洗い出す。想定されるリスクに対して、全国の増額事例を参考に必要な費用を計上。リスクの例には、地質調査の結果を踏まえた支持層変更や橋脚基礎の杭本数増加などが挙げられた。

着工前も現地調査や関係者調整を重点的に実施し、リスクの回避や軽減につなげる。大規模な事業費の増額が見込まれる場合は事業計画を変更する。用地買収や工事着手時等に事業費を精査し、増額が想定される際は原則5年の再評価を前倒しする。

将来の物価変動は、予測が難しく、事業費が課題となる恐れもあることから、事業費算定には反映せず費用便益比(B/C)分析で増額した場合の影響を把握する。

また、当初事業費の算定精度を高めるため、21年度に作成したチェックリストを更新。これまでの増額事例を踏まえて記載を拡充し、土工では周辺家屋や鉄道への影響を考慮した軟弱地盤対策工法を計上しているか確認する項目も盛り込まれた。

総合評価のあり方 便益の計測検討も

このほか、道路事業の総合評価のあり方についても審議された。事業評価の費用対効果分析の便益を充実し、25年度の新規採択時評価から時間信頼性向上、CO²排出削減のB/Cを参考値として示す。救急救命率向上や災害時の不安軽減などの効果についても、便益計測手法を検討し、順次適用することも確認された。

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