全国高速道路建設協議会の諸活動につきまして、常任世話人の国会議員の先生方をはじめ、各都道府県の知事や議会議長、関係市町村の皆様に、日頃から多大なご尽力とご指導を賜り、厚く御礼申し上げます。
高規格幹線道路1万4000kmにつきましては、昨年、約339kmが開通し、供用率が86%となるなど、ミッシングリンクの解消に向け着実に整備が進んでおります。懸案の暫定2車線区間の4車線化につきましても、令和元年9月に策定された「高速道路における安全安心基本計画」に基づき、約880kmの優先整備区間が選定され、当面、財政投融資を活用して整備していくこととされております。
高速道路の延伸や暫定2車線区間の4車線化による、速く安定した物流や安全で円滑な人流の確保は、全国それぞれの地域において産業振興や観光振興に大きく寄与し、地域経済の活性化を大きく支えることとなります。特に近年、顕著な自然災害の激甚化、頻発化により、高速道路は地域住民の生命、財産を守る“命の道”としての役割を大きく担っています。
昨年は、令和2年7月豪雨におきまして、九州など西日本地域を中心に甚大な被害をもたらしました。全国各地で高速道路や国道等が被災しましたが、九州自動車道では大規模な冠水被害や土砂崩落が発生したものの、4車線区間であったため、被害を受けなかった車線を活用し、緊急車両の通行や救援物資等の輸送を速やかに確保することが出来ました。
振り返りますと、平成30年7月豪雨では、西日本を中心に広範囲にわたる土砂災害に見舞われ、各所でライフラインが寸断される事態となりました。その際、中国地方では、東西の大動脈である山陽自動車道が通行止めとなったものの、短期間で通行を再開した中国自動車道や山陰自動車道が代替路となり、九州と近畿をつなぐ“命の道”の機能を果たしました。四国地方においては、高知自動車道の上り線の橋脚上部工が流出したものの、4車線化されていたために、下り線を対面通行にすることで通行を再開し、通行機能の早期回復につながりました。
本年3月には、東日本大震災から10年の節目を迎えます。東日本大震災では、高速道路は発災後20時間後には緊急交通路に指定され、緊急車両の通行が可能となったほか、13日後には一般車両の通行も可能となり、被災地への緊急支援物資を支える大動脈としての役割を果たしました。
激甚化する自然災害を見据え、災害に強い、強靭で信頼性の高い高速道路ネットワークの構築は喫緊の課題です。ミッシングリンクの解消や暫定2車線区間の4車線化、そしてダブルネットワークの強化は、災害発生時において被災地への円滑な救援部隊の派遣や支援物資の輸送を確保し、早期の社会経済活動の再開につなげる上でも大変重要です。
このため全高速では、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に続く5か年間の計画策定、そして長期安定的な道路整備・管理が進められるよう新たな財源を創設するとともに、21年度道路関係予算の所要額の満額確保を政府へ強く要請してまいりました。
結果、昨年12月11日に、21年度から7年度までを事業期間とする「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が閣議決定されました。事業規模は概ね15兆円とされ、この中で災害に強い道路ネットワークの構築として、ミッシングリンクの解消や4車線化、高規格道路と直轄国道とのダブルネットワークの強化も重要な対策として位置付けられました。
また、21年度当初予算案では、道路関係予算としてほぼ前年並みの2兆655億円を確保し、20年度第3次補正予算案に計上された強靱化予算を含めた15カ月予算で見れば、対前年度比11%増の予算を確保することが出来ました。
これも偏に、会員の皆様の要望の成果であり、今後、全高速としましては確実に予算が執行されるよう注視するとともに、引き続き高速道路の整備促進を国に訴え、更には国民の皆様に高速道路の有用性をよりご理解いただけるよう努力してまいります。
関係各位の一層のご指導、ご支援をお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。