「道路啓開計画」ガイドライン今夏策定 国交省 優先区間の選定方法など

国土交通省は、災害時の応急復旧作業の役割分担などを定める「道路啓開計画」について、優先区間の選定方法や自然災害ごとの留意点を示すガイドラインを策定する。自治体をはじめとした道路管理者に、より実効性のある計画策定を促し、迅速な救助稼働や物資輸送のルート確保につなげる。夏頃の公表を目指す。

道路啓開計画は東日本大震災以降、道路を管理する国交省や自治体、高速道路会社と建設業団体等でつくる各地域の協議会で策定が進められてきたほか、個別に用意している都道府県がある。その一方で、地域間で内容に差があったり、記載が不十分な項目もみられるなど、実効性に課題があった。

また、道路寸断が相次ぎ孤立集落が多数発生した能登半島地震を踏まえ、陸路で被災地までのアクセスが難しく、復旧を担う人員や物資の輸送に時間を要するケースにどう対応するかも課題として指摘されていた。

このため、4月9日に今国会で成立した改正道路法では道路啓開計画に関する規定を初めて明記。盛り込むべき内容として、対象災害、啓開目標、対象路線・区間、啓開方法、資材・機械の備蓄と調達方法、訓練、情報の収集方法等の項目が挙げられた。その上で、計画に記載した道路は災害時、管理する自治体の承認がなくても、国が瓦礫の撤去や段差の穴埋めなどを実施できるようにした。

ガイドラインでは、啓開を優先する区間や通行確保までの目標時間の設定方法を説明。訓練に関しては、頻度のほか、車両移動や瓦礫撤去をはじめとした実施内容を詳細に盛り込むよう、各協議会等に求める。

半島部については、能登半島地震の教訓を踏まえ、陸路での資機材調達が困難な場合を想定し、海側からの搬入を検討し計画への反映を促す。

このほか、地震や津波に加え、火山噴火による降灰を含む自然災害ごとの留意点を示すとともに、原発事故など複合災害も考慮を求める。

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