中部横断道・山梨~静岡間全通3年後 経済効果、年間約367億円 山梨県123億円、静岡県136億円

国土交通省甲府河川国道事務所は2月19日、中部横断自動車道・山梨~静岡間の全線開通3年後の整備効果を発表した。移動・輸送時間の短縮や生産増加などによる経済効果は年間約367億円で、地域別では山梨県が123億円、静岡県が136億円に上ることが分かった。

中部横断道は、トラック輸送や長距離移動、防災機能に乏しかった静岡、山梨、長野3県の南北軸ネットワークを強化する高規格道路として整備が進められている。このうち、山梨~静岡間は2021年8月の下部温泉早川IC~南部IC間の開通により悲願の全通を迎えた。これにより新東名・新清水JCTから北上し、国道52号・JR身延線と並行して、中央道・双葉JCTへ直結する全長約74㌔の高速道路ネットワークが完成した。

甲府河川国道事務所と山梨大学、山梨経済同友会がまとめた開通効果によると、中部横断道の整備前と比べ、双葉JCT~新清水IC間の所要時間が2時間45分から1時間35分と約70分短縮。開通3年後の断面交通量は約2倍の1万1500台/日と大幅増となっている。これに対し、並行する国道52号の断面交通量は約3割減少。利用者のルート選択が広がるなど、分散効果が顕著に見られた。

沿線地域では、高速道路のネットワーク化により産業、観光面での活性化が顕著に示された。

産業面では、中部横断道のIC5㌔圏内における設備投資額が500億円を突破し、工業地の地価が最大で約1割向上した。また中部横断道の開通を契機に、冷蔵施設の整備など一貫したコールドチェーン体制を構築。山梨県や長野県の産品を清水港から輸出する動きも広がった。

一方、観光面でも「道の駅富士川」の年間集客数が19年度比で約2割増加し、50万人を超過。「沿線観光地では、中部横断道を利用しての山梨県外からの来訪者が増加した」(山梨経済同友会)という。

中部横断道は現在、長坂JCT~八千穂IC間がミッシングリンクとなっている。沿線住民、自治体、地元経済界では早期開通を求めており、事業化に向け必要な環境アセスメントと都市計画決定が進んでいる。

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