国土交通省は8月26日、2026年度予算の概算要求を発表した。国費総額は一般会計が前年度比19%増の7兆0812億円。このうち公共事業関係費は同19%増の6兆2820億円、非公共事業は同18%増の7992億円を要求した。26年度からの「第1次国土強靱化実施中期計画」初年度分は事項要求とし、予算編成過程で検討する。
同日の閣議後会見で、中野洋昌国交相は国民の安全・安心確保など3本柱に沿って要求を整理したと説明。「公共事業予算をはじめ、必要な予算が確実に確保されるよう全力を尽くす」として、埼玉県八潮市の道路各没事故を踏まえたインフラ老朽化対策、戦略的で計画的な社会資本整備を主要課題に挙げた。
道路関係予算の26年度概算要求は、国費ベースで同19%増の2兆5279億円、事業費ベースで同18%増の6兆0397億円となった。内訳を国費ベースで見ると、直轄事業が1兆9023億円、補助事業が6106億円で、ともに同19%増。有料道路事業は同26%増の151億円が計上された。
直轄事業のうち、改築その他に同19%増の1兆2133億円、維持修繕に同23%増の5699億円を計上。維持修繕の伸びが顕著となった。
国交省関係の財投機関財政投融資計画のうち、日本高速道路保有・債務返済機構については、同41%増の7310億円が要求された。
重要政策推進枠として「効率的な物流ネットワークの強化」に1310億円、「道路ネットワークによる地域・拠点の連携確保」に1809億円、「道路の老朽化対策の更なる推進」に966億円が要望された。
「効率的な物流ネットワークの強化」では、カーボンニュートラルや物流危機の解決に資する迅速かつ円滑な物流の実現のため、三大都市圏環状道路等を中心とする根幹的な道路網を重点的に整備。「道路ネットワークによる地域・拠点の連携確保」では、シームレスな高規格道路ネットワーク等を整備することで国全体の連結強化を目指す。
事項要求となった「第1次国土強靱化実施中期計画」を踏まえた防災・減災、国土強靱化については「高規格道路ネットワークの整備や老朽化対策等の抜本的な対策を含め、取り組みの加速化・深化を図る」とした。
地方公共団体が管理する道路施設の長寿命化修繕計画に対しては、道路メンテナンス事業補助制度により財政支援するほか、道路橋の集約・撤去や広域連携の取り組み促進に向けたガイドラインも作成する。
自動物流道路の社会実装では、国土技術政策総合研究所などで既存技術による実証実験を実施する。脱炭素化の推進では、道路建設から管理までのライフサイクルコスト全体でのCO²排出量を削減する。