2014年9月 全高速トピックスバックナンバー

1日も早い全線開通を/新名神三重・滋賀県民協議会平成26年度大会を開催2014年09月25日

新名神三重・滋賀建設促進県民協議会(会長=鈴木英敬三重県知事)は20日、三重県鈴鹿市のサーキットホテルで平成26年度大会を開催した。三重、滋賀両県知事や三重県選出の国会議員、沿線市町長など約170人が参加。

冒頭、三重県の鈴木知事は、公共事業予算の総枠確保を要望していくことが必要としつつ、昨年度開通した近畿自動車道紀勢線の事業効果を引き合いに出し、「コンビニの出店エリアが拡大し、高速バスが増便するなど地域が活性化している。高速道路を通過するためだけの施設でなく『賢く使う』、『アイデアを出す』といった機運を醸成することが重要。思いを一つにして新名神の一日も早い供用を目指そう」と挨拶。

滋賀県の三日月大造知事は「両県とも交通の要衝として栄えてきた歴史がある。医療・観光・交通・物流は、ネットワークが繋がってこそ効果を発揮する。災害に強い、渋滞のない新名神高速道路の一日も早い完成を」と訴えた。

また、地元の声を代表し、滋賀県甲賀市商工会土山支部の加藤弘明支部長と新名神と鈴鹿亀山地域の幹線道路整備を進める会の田中彩子会長が意見発表をした。

加藤支部長は「高速道路は将来の夢を実現されるために必要なアイテム」、田中会長は「三重県区間全線で工事が進められ感慨深い。次世代に誇れる地域を目指し、一日も早い供用を」とスピーチした。

大会決議は、四日市~亀山、大津~城陽、八幡~高槻間の早期整備や亀山西JCTのフルジャンクション化を本線同時供用、必要な道路財源を安定的かつ確実に確保することなどが盛り込まれ、鈴鹿市の末松則子市長が朗読した。県では、「満場一致で可決された決議を今後の要望活動に使用していく」としている。

8/21開催全高速節目の50回大会に800人参集①1万4000㌔整備の予算確保で一致団結2014年09月17日

全国高速道路建設協議会(会長=横内正明山梨県知事)は8月21日、東京・平河町の砂防会館別館シェーン・バッハサボーで「全国高速道路建設協議会第50回大会」を開催した。政府が進める地方創生に不可欠な高規格幹線道路網1万4000㌔の早期ネットワーク化を強力に訴えるため、全国から駆け付けた約800人が見守る中、横内会長は「全高速の声を実現するため、所要予算の確保に全力で取り組む」と語ったほか、太田昭宏国土交通大臣は「高速道路はあらゆる角度から見ても、真に必要な公共事業」と力強く挨拶。大会では、1万4000㌔の早期整備を軸に、暫定2車線区間の4車線化、スマートICの整備促進を盛り込んだ大会決議が満場一致で採択された。

 高速道路の早期ネットワークを訴えて半世紀。節目となった第50回大会には、国土交通省から太田昭宏大臣、来賓として梶山弘志衆議院国土交通委員長、高市早苗自民党政調会長、井上義久公明党幹事長、全高速常任世話人国会議員で高速道路建設推進議員連盟会長の衛藤征士郎衆議院議員が出席したほか、衆参国会議員52人、ミッシングリンクを抱える沿線市町村長72人が駆け付けるなど、当日の参加者は約800人に達した。

大会前日の20日未明、広島市北部で発生した大規模な土砂災害に対応するため現地入りする太田昭宏国土交通大臣が大会冒頭、登壇し「高速道路は地域の発展にとっても、住民の利便性のためにも、あらゆる角度から見ても真に必要な公共事業だと認識している」と挨拶。自身が感じた整備効果として「昨年11月に開通した日沿道・大館北~小坂間では、若者の雇用を飛躍的に拡大させた企業があった。また、今年6月には圏央道・相模原愛川~高尾山間が開通。ついに圏央道と東名、中央道、関越道が結ばれた。これにより、群馬県の世界遺産、富岡製糸場と神奈川県が直通するルートが生まれるなど、地域の交流圏が広がった」など事例を熱く紹介した。

続けて、太田国交相は「政府は今秋、“まち・ひと・しごと創生本部”を立ち上げ、これからの人口減少時代、高齢化社会に対応した地方のまちづくりを進める施策を予定している。新しい個性を持ったまちづくりを行うためには道路ネットワーク網の構築は必要不可欠。コンパクト・プラス・ネットワークをメインテーマに掲げスタートを切る。今回の大会を踏まえ、前進に向け頑張る」と力強く語った。

大会主催者を代表して挨拶に立った横内正明会長は、50回を数えるに至った全高速大会の経緯を説明した上で、会場を埋め尽くした参加者に謝辞を述べた。横内会長は、高規格幹線道路網1万4000㌔の供用率が未だ7割台にとどまっている現状に言及し「近年頻発する自然災害や、今後想定される南海トラフ巨大地震、首都直下型地震等が心配される中、国民の安全・安心を守っていくためには、国土強靭化の主要な柱として命の道、高速道路の整備促進は喫緊の課題」と指摘。

「そのためにも平成27年度予算の確保、更には長期安定的な財源確保が不可欠であり、強く国等へ訴えていく」と述べ、出席国会議員に理解を求めた。

続く来賓挨拶では、梶山衆院国土交通委員長が「全高速の声を踏まえ、地域の成長戦略に不可欠な1万4000㌔の整備に取り組む」と表明したほか、高市自民党政調会長が「リダンダンシーの確保ととともに、経済効果を発揮するスマートICの整備など、高速道路が果たす役割は極めて大きい。命を守るのは国の究極の課題。次世代に豊かな日本を残すため、一部の軽薄な批判に負けず、力を合わせて頑張ろう」と呼びかけた。

出席国会議員、来賓紹介の後、鈴木英敬副会長(三重県知事)が、三重県南部の整備状況と地域に与える開通効果を中心に意見発表を行った。

鈴木副会長は、紀勢道、熊野尾鷲道路が整備されたことで観光入込客数が飛躍的に伸びたことに加え、「高齢化、過疎化が進行する県南部だが、高速道路の延伸でコンビニ13軒が新規に出店。買い物難民が出ずに済んだ。防災面でも、法面崩壊で寸断された国道の代替機能を果たし、地域住民の生活が守られた」と報告。「全国各地で課題もあるが、まずは我々の力を結集して予算の総額確保のため力を合わせることが重要」と結んだ。

この後、明比昭治愛媛県議会議長が大会決議案を朗読し、満場一致で採択。最後に、浜田英宏高知県議会議長が「来賓の方々には、高規格幹線道路網の早期整備に賭ける地方の熱意を痛烈に感じて頂いたと思う。大会決議を掲げ、成果を掴み取ろう」と閉会の辞を述べた。

今回50回大会を記念して、会場内では高速道路50年を振り返る写真パネルを展示。昭和30、40年代の黎明期から今年開通した圏央道まで、時代の1コマをとらえた写真の数々が会場に華を添えた。

★全高速節目の50回大会に800人参集②へ続く

8/21開催全高速節目の50回大会に800人参集②2014年09月17日

●会長横内正明山梨県知事

高速道路事業は大きな節目に~

まず、去る19日深夜から未明にかけて、広島市北部を襲った集中豪雨で大規模な土砂災害が発生した。太田大臣も挨拶を終えて、災害対応のため直ちに現地に赴かれる。二次災害が心配される状況下、被災地の一日も早い復旧復興を願うとともに、不幸にもお亡くなりになられた方々のご冥福を衷心よりご祈念申し上げたい。

全高速の大会は昭和40年に設立して以来、今回で50回を迎えることとなった。これもひとえに国会議員の先生方のご支援、ご協力、そして全国の会員の同志の皆様方の熱意の賜物であり、深く御礼を申し上げたい。

我が国の近代的な道路整備は、戦後日本が高度成長を始めた昭和29年、第一次道路整備5カ年計画ができたことにより、スタートを切った。その後、経済成長を牽引するものとして、高速道路の必要性に対する認識が高まってきた。昭和38年には日本初の高速道路として名神高速道路が開通し、40年には東名高速道路に加えて、日本列島の主軸を形成する幹線道路として東北、中央、北陸、中国、九州の縦貫5道の整備計画が決められた。

こうした当時の時代背景のもとで、全高速は、これまで各地各地で独自に運動を展開していた期成同盟会を全国統合し、全国的視野に立って活動をしていこうということで、全国高速自動車国道建設協議会として昭和40年に発足した。以来、初代会長の青木一男先生をはじめ、歴代の諸先生方のご尽力により、様々な課題をその都度その都度克服してきた。平成7年には法定予定路線に加え、高規格幹線道路網も入れて1万4000㌔を運動の対象とし、名称も現在の全国高速道路建設協議会と改めて、促進活動に取り組んできた。

3年前の東日本大震災では、高速道路は緊急物資の輸送や救命救急活動などに大きな役割を果たし、改めて命の道としての重要性が認識された。

近年、毎年のように各地で自然災害が頻発し、また今後、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震等が心配されている中で、国民の生命・財産を守っていくためには国土強靭化の主要な柱として命の道、高速道路の整備促進が喫緊の課題である。

また地方部においては、高速道路整備の遅れが地域の防災減災に支障を来たすというだけでなく、地域の活力低下による人口の減少と過疎化問題を引き起こす一因にもなっている。政府が掲げる地方創生、人口減少克服ということを実現していくためにも、高速道路整備をこれ以上遅滞させてはならない。

しかし高規格幹線道路網1万4000㌔の供用率はまだ7割台にとどまっており、多くの未開通区間を抱えている。とりわけミッシングリンクと言われる切れ切れの状態というものは、高速道路がネットワークとして機能して初めて大きな効果を発揮するにもかかわらず、その効果が十分に発揮できないという大きなマイナスが生じている。まずはミッシングリンクを早期に繋ぐということが、第一の我々の緊急課題である。

更に一昨年の平成24年12月に中央自動車道・笹子トンネルで大変痛ましい事故が発生。それを契機に高速道路の老朽化が社会問題となっている。幸い、先の通常国会において、老朽化が顕著な高速道路の大規模更新・修繕費に充てるため、現行の償還期間を最大15年延長する改正道路法が可決、成立した。今後、国の強力なリーダーシップのもと、高速道路の維持管理・更新が確実に進められるよう期待したい。

加えて、暫定2車線区間の4車線化、大都市周辺のボトルネック対策の推進、スマートICの整備促進など、既存のネットワークを有効に賢く使うための整備も重要である。

日本で高速道路が初開通して50年あまり。正に高速道路事業は現在、大きな節目を迎えている。全国46の期成同盟会とともに、平成27年度予算における必要額の確保、更には長期安定的な財源の確保を強く訴えて参る所存だ。本日ご列席いただいた国会議員の諸先生方におかれては、全高速の声は全国の切実な声としてお聞きいただき、力強いご支援を賜りたい。

 

●太田昭宏国土交通大臣

~高速道路は極めて重要~

この度、記念すべき第50回大会を迎えられたことに、心からお祝い申し上げる。昭和38年に名神、そして37年に首都高が開通して以来、50年間、高速道路は我が国の発展に大きく寄与してきた。

道路は無駄であると指揮する向きはあるが、勿論、無駄な公共事業は止める。しかし、必要な公共事業はやっていかなくてはならない。高速道路は、その中でも極めて必要であり、地域の発展にとっても、あるいは住民の利便性にとっても、あらゆる角度、360度の方向から見ても必要なものであると、私は認識している。

昨今、高速道路がもたらす効果は様々だ。日本海沿岸東北自動車道を全面的に通すことを決めてから、昨年11月30日に大館北~小坂間が開通した。その開通式に私は出席した。驚くことに、大館には既に開通することを想定して、多くの企業が立地し、中には140人ぐらいでやっていた企業が何と2千名を超える、しかも地元の若い人たちを大勢雇うという企業に発展しているという状況を目の当たりにした。

そして小坂は昔、銅山で栄えた町だが、この小坂が日沿道の最終地点ということになると、盛岡と青森、秋田と丁度真ん中のところに位置し、今後、非常に大事なハブ効果を発揮すると期待されている。正に高速道路が繋がることの大きな利点を改めて実感した次第だ。

今年6月28日には、圏央道・相模原愛川~高尾山間が開通し、圏央道と東名、中央道、関越道が遂に結ばれた。既に開通している圏央道では、埼玉県を中心に工場等の立地が進んでいる。今後、圏央道は間もなく東北道とも繋がり、更には常磐道にも繋がって成田に行けるようになる。

今回、相模原愛川~高尾山が開通したことで、神奈川県の方々が圏央道を使って群馬県の世界遺産、富岡製糸場に行けるという状況が生まれた。これまで海無し県と言われた群馬県が、神奈川という海の地域を持つという、そうした効果が発揮された。

会長の前に喋って申し訳ないが、中部横断道もしかり、あるいはまた東九州道など、一つ一つ、皆さんからしたらもっと早くしてほしいということは、よく分かっている。徐々に、今日壇上にいらっしゃる国会議員の先生方にもご協力を頂いて、毎年少なくとも前進しており、これから更に前進していかなければならないと強く決意しているところだ。

政府は今秋、「まち・人・しごと創生本部」を立ち上げ、これから人口減、あるいは高齢化社会という中で地方がもう一度、まちをつくり直していかなければならないということ、これに対応して新しい個性を持ったまちづくりを展開して、そこを道路ネットワーク網で結ぶという形を目指すという大きな方針の下、再度スタートを切っていく。国土交通省としても、国土のグランドデザインを7月4日に発表し、コンパクト・プラス・ネットワークを大きなテーマにスタートを切らせていただいた。

高速道路は、リダンダンシーの観点においても、あるいは命の道ということにおいても、極めて重要だと認識している。海岸でつくられている高速道路では早く津波が到達するということで、膨らみを持たせ階段を付けることで避難が出来る、そうした高速道路も現在建設されている。

リダンダンシーと命を守る高速道路の役割は大きく、救急医療体制を支援し今後の地域の発展にも大きく寄与する。皆さんのご協力をいただいて50年、徐々にではあるが高速道路は出来上がってきている。人口減少、高齢化、国際競争、そしてまた防災という観点においてきわめて必要な高速道路の整備に、皆様と力を合わせて頑張っていく決意だ。

 

●梶山弘志衆議院国土交通委員長

~ミッシングリンク解消に全力~

先の186回通常国会において、国土交通省関係の法律16本が成立した中で、道路法等の一部改正という法律がある。この法律は道路法の一部改正、更には道路整備特別措置法の一部改正、高速道路機構法の一部改正が含まれている。老朽化した高速道路の大規模更新・修繕をはじめとして、スマートICの枯渇している財源についても財政支援をしようという法律の中身、更には立体道路制度を既存の高速道路にも適用して、あらゆる手段を使って更新、大規模修繕を早く進めていこうというのが、その主旨だ。

大会も50回を数えるとともに、高速道路が出来て50年が経過した。30年が経過した老朽化した高速道路が全国に沢山ある。そして、防災減災の観点に立っても、これらの大規模更新、そして大規模修繕は喫緊の大きな課題である。

加えて、それぞれの地域で高速道路が出来ることによって、それぞれの地域の成長戦略が描けるし、その地域を維持するための戦略が描けるということだ。

ありとあらゆる手段を使って、場合によっては民間の資金も活用しながら、皆さんとともに早期にミッシングリンクの整備、そして1万4000㌔の整備に向け、議会としても、また国土交通委員会としても最善の努力をしていくことをお誓い申し上げる。

 

●高市早苗自由民主党政務調査会長

~ITS推進と道路整備で~

先ほど、横内会長が高速道路の命の道としての必要性を仰って下さった。東日本大震災の時の物資、復旧のための物資や生きるための物資の搬送にも、高速道路は大変有効に活用された。あの大災害を通じて、いざという時の避難場所としての役割も注目された。

私自身、あと4日で政調会長に就任して1年8カ月となる。その間、これまで休眠状態となっていた道路調査会をITS推進・道路調査会として復活させた。ITSの推進と道路整備、その両輪で対応していきたいと考えている。

この1年8カ月の間、毎日のように全国各地から多くの自治体代表の方にお越しいただき、切実な声を伺った。高速道路など道路整備の現状はまだまだだ。今の状態を放置しておくと、大変なことが起こりかねない。

例えば、四国では8の字ネットワークであり、九州でお話を伺うと、現状では救急搬送にも支障を来たすという。今後、南海トラフ、首都直下型地震が予測される中で、日本海の国土軸も含め、あらゆる場合にキチッとフォローできるリダンダンシーの体制、これを早く構築しなければならない。ミッシングリンクも解消しなければ駄目だ。これが繋がらなければ、途中で何が起こるか分からない。まず命を守るのが国の究極の課題だろう。

数年前、コンクリートから人へというキャッチフレーズが流行った。そして一部のマスコミがそれに乗っかった。しかし、地域に住む方々にとって、こうした道路は命の道だ。国の究極な使命、そして地域の行政の使命は命と財産を守ることに尽きる。

命のことだけでなく、実際に高速道路が出来た、更にはスマートICが出来たという時、周辺の土地は企業立地の面でも大変有効な場所として価値を持つ。土地の価値を上げるとともに、企業立地を進めようと皆さん、頑張っていただいている。

企業がどこに投資するか立地するか。税もあるだろう。安価で安定的なエネルギー供給も大きな用件だろう。しかし、一番の判断基準は流通環境であり、周辺のネットワーク整備如何にかかっている。

次の世代にしっかりとした持続的な成長を繋げていくためにも高規格幹線道路網の整備は欠かせず、その成果は将来世代の福祉にも繋がっていく。経済面、そして命を守る面で、これから信念を持って、一部の非常に軽薄な批判に負けず、後世に誇りを持って残せる道路をつくっていこう。

これから我が党、特に来週は概算要求に向けて各部会も開かれ、そして各省庁には言いたいことを言わせていただく。皆さんの思いを受けながら、自民党議員、心を合わせて頑張っていく。

●井上義久公明党幹事長

~高速道路で地方創生を~

高速道路整備による物流、観光等の経済効果は当然だが、最近では救急医療の支援、あるいは災害時の救援や避難道路、復旧復興の支援としての役割、正に命の道としての役割に対する認識が高まっている。

私自身、地元は仙台だが、3・11の東日本大震災発災時は東京にいた。すぐに地元に戻ろうとしたが新幹線、空港、高速道路等が寸断され、結局16時間かけて一般道の4号線で仙台に帰った。こうした緊急時において、高速道路はその翌日、緊急車両ではあるが復旧し、被災地支援に大きく活用された。尽力された関係の方々には頭が下がるが、高速道路の役割の大きさに改めて認識させていただいた。

そうした意味も含め、いろいろ批判もあり紆余曲折もあったが、やはりここでもう一回、高速道路の役割について共通認識を持ち、世の中全体に広げていく必要がある。

政権が代わり、特に太田国土交通大臣におかれては、全国の高速道路をそらんじて、今どういう状況にあるのか分かっており、かなり前進したと思う。しかし、高規格幹線道路網の供用率は未だ7割台ということで、多くのミッシングリンクが残されている。何とか早くこれを解消して、ネットワークとしての高速道路の有用性が十分に発揮できるようにしていかなければならない。

また、スマートICについても、整備されることによる成果が如実に表れている。スマートICについても拡充していく必要がある。

全高速の歴史が50年ということでも分かる通り、老朽化した高速道路が増えてきた。防災減災の観点からも、更新・修繕についても具体的なスケジュールに乗せていかなければならないと思う。

今後、総理が言っている通り、地方創生が一番のキーになる。そのためには高速道路のネットワーク化は欠かせない。皆さんと力を合わせて、年末に向けしっかり財源を確保することを決意し、取り組んでいく。

 

●衛藤征士郎高速道路建設推進議員連盟会長

 ~全高速と連携して財源確保~

50年間にわたり、我が国の高規格幹線道路1万4000㌔の整備のため、全身全力で取り組まれた関係各位に心から感謝申し上げる。いよいよ来年度予算編成に向けて動き出すが、皆さんとしっかり連携して頑張っていく。

少子高齢化、更には都市間の激しい国際競争化、そして防災に強いしなやかな国土形成、こうした観点からも高速道路は社会資本の最たるものだ。

昭和44年に第一次全国総合開発計画、いわゆる新全総が出来た。その後、だいたい10年刻みで全総の改訂が行われ、近いところでは昭和62年に四全総が出来た。その後、21世紀の国土のグランドデザインということで、計画の間隔、間尺が非常に大きくなり、今日に至る。

そのグランドデザインは2050となっている。2050年というと相当先になる。これを国交省では来夏にも見直すということだが、何とか10年刻みの計画にしてほしい。そして、その中に明確に1万4000㌔の高規格幹線道路網の整備を位置づけてほしい。

そのためには財源が必要だ。我々が責任を持って財源をつくらなければならない。財源はどこにあるのか。それは消費税だろうと思う。

消費税は平成17年度から、すべて年金・医療・介護・子育てに使うと法律に規定されている。消費税は現在、国の配分が61%、地方の配分が39%。1%を2兆7000億円で計算しているので、8%だと約21兆円。その中の8兆円は地方に配分される。13兆円が国で使われる。

しかし本年度予算を見ても、公共事業は6兆円だった。前政権時の平成24年の当初予算では国の公共事業は4兆5000億円。途中で政権が代わり、これに補正を加えて何とか5兆8000億円にまでなった。そして、25年度は6兆2000億円まで積み上げることが出来た。

皆さん、ご存じの通り、国の予算は非常に窮屈ということで、10年間、防衛費を削り、また文部科学省予算も削った。そうした中、みんなで協力して消費税を5%から8%にした。結果的に玉突き現象が起こっているということだ。

欧州では消費税は20%。我が方は8%。今後の消費税のあり方も含め、このあたりを工夫して、高規格幹線道路網整備の財源を確保していくことは、極めて大事なことではないかと思う。

私ども議連としても、全高速と連携し、財源確保に取り組んでいきたい。

 

■意見発表

●副会長鈴木英敬三重県知事

~予算の満額確保へ力を結集~

今回の広島県を中心とした土砂災害、そしてこの夏、多くの地域で台風などの被害が発生した。お亡くなりになられた方々には心からお悔やみを申し上げ、また不自由な生活を強いられている皆様には心からお見舞い申し上げる。

私の方からは、三重県南部の高速道路の整備効果と、それから今後の期待について紹介したい。

三重県は日本人の精神文化の源流である伊勢、熊野があり、心のふるさととして人々の心を魅了してきた。また東海道や伊勢街道など様々な街道に支えられ、言わば古くから道に支えられた地域であったが、高速道路については、その整備はまだ道半ばである。加えて三重県は空港も新幹線の駅もない。そういう意味で、高速道路の整備は正に生命線という状況にある。

三重県は昨年の神宮式年遷宮、それから今年の熊野古道の世界遺産登録10周年、これをきっかけとするために集中的に整備していただき、伊勢と熊野を結ぶ紀勢道、それから熊野尾鷲道路、これが昨年度、全線開通した。そのおかげで、昨年の伊勢神宮の参拝客数は1420万人ということで、これを一つのスポットで見ると東京ディズニーランドに次ぐものであり、沢山の方々に来ていただいた。三重県部分の熊野古道についても約31万人と、過去最高となった。

一方、三重県南部は高齢化、過疎化が非常に進んでいる地域である。従ってスーパーマーケットが撤退したり、ガソリンスタンドが閉鎖したり、そういう状況が起こる。しかし、高速道路が延伸したことでコンビニエンスストアが13軒、新規に立地され、買い物難民が出ずに済んだ。また、この辺りは蜜柑が主要な産業だが、高速道路の延伸でタイへの輸出が伸びたという事例もある。

防災面では、国道42号線が一つの基幹道路だが、この7割が津波浸水地域。昨年11月、そこの法面崩壊で23日間、通行止めとなった。それまで国道1本しかない状況だったが、高速道路が開通したことで、23日間も法面崩壊で通行止めとなったにもかかわらず、地域住民の生活が守られた。

こうした整備効果があると言うものの、未だ整備されていない地域が沢山ある。三重県においてもミッシングリンクとして近畿自動車道紀勢線、それから新名神、東海環状道、まだまだミッシングリンクが残されている。

こういう私どもの区間も含め、本日お集まりの皆さんの地域の区間も早く整備していくため、我々は力を結集していかなければならない。それぞれに地域の課題もあろうかと思うが、まずは力を結集して、予算の満額確保に向けて、全力で取り組んでいくことが大事だと思う。50回大会を契機に、皆さんと力を合わせ、汗をかいて頑張っていく。

■決議案朗読

●明比昭治愛媛県議会議長

高規格幹線道路網1万4000キロメートルは、我が国の産業発展に資するとともに、国民の命を守る社会資本の要である。このため、着実な整備とともに、老朽化に対応した維持管理・更新や、既存高速道路の十分な活用が図れるよう、全国高速道路建設協議会では、地方の総意として、次の事項を強く要望する。

記                                                         

 一、高規格幹線道路網1万4000キロメートルの早期整備

一、事業中区間の整備スピードアップと供用までの工程表の早期提示

一、未事業化区間の計画段階評価などの速やかな実施と早期事業化

一、暫定二車線区間の四車線化の早期実現

一、大都市周辺の恒常的な渋滞区間の早期改修

一、スマートICの整備推進

一、大規模更新・大規模修繕の計画的な推進

一、SA・PAの防災拠点化の推進

 高規格幹線道路網の計画的な整備が進められるよう、平成27年度概算要求では、所要の予算を確保すること

以上

■閉会の辞

●浜田英宏高知県議会議長

本日はご来賓の皆様方には、高規格幹線道路網の早期整備や老朽化に対応した維持管理、あるいは更新に対する私たち地方の熱意を痛烈に感じて頂いたことと思う。高規格幹線道路網の整備効果は、企業誘致や観光振興、巨大災害への備えなど、それぞれの地域によって多種多様なものがある。

本日、愛媛県議会の明比議長が決議を朗読されたが、我々四国において東南部、西南部は30㍍の大津波が押し寄せることが想定されている、正に危険地帯であり、津波避難対策特別強化地域に指定されている。

にもかかわらず、計画段階評価すら着手されていないミッシングリンクが多く存在している。そうした市町村では、防災計画すら立てられない状況にある。

災害に強い命の道としての高規格幹線道路網の重要性は言うまでもない。本日、採択された決議をもとに、これから私たちは声を大にして提言し、成果を必ず掴み取るために、会員一同、一致団結して行動していこう。

「リアス・ハイウェイ早期実現八戸大会」10月2日に八戸市で開催2014年09月15日

八戸、久慈、宮古、釜石、大船渡、陸前高田、気仙沼の東北7市で構成する三陸沿岸都市会議は、地震・津波防災や地域間連携の観点から高規格道路等の果たす役割を広くPRする「~復興に向けて三陸リアスの大地を一つにつなぐいのちの道~リアス・ハイウェイ早期実現八戸大会」を10月2日(午後1時~3時30分)、青森県八戸市で開催する。後援は、青森県、岩手県、宮城県、国道45号沿線11市町村、沿線自治体の商工会議所、商工会、青年会議所等。

当日は、基調講演や東北7市のメッセージを予定。事務局の八戸市によると、「約1000人の参加を見込んでいる」。会場は八戸市公会堂中ホール(青森県八戸市内丸1-1-1)。申込み不要、参加費無料。

「命の道」の早期完成へ気勢/九州中央自動車道建設促進地方大会2014年09月15日

「ガンバロー!ガンバロー!ガンバロー!」。

3日、熊本県嘉島町で開かれた「九州中央自動車道建設促進地方大会」。会場には沿線住民、経済団体、行政関係者、ゆるキャラのくまモンやみやざき犬など600人が参集。熊本・宮崎両県民が心ひとつに、命の道の早期完成へ気勢を上げた。

主催者挨拶で河野俊嗣宮崎県知事は、九州中央道の整備率を11%とした金尾健司九州地方整備局長の報告を受け、「まだまだという感。広島の土砂災害のように九州も火山灰性の土壌で多くの土砂災害が起こり得る。インフラの老朽化対策も大変重要だが、まだ我々は“命の道”もできていないということを声を大にして伝えたい」と述べ、県境を跨ぐ、蘇陽~高千穂間の計画段階評価早期完了と矢部~蘇陽、日之影~蔵田間の計画段階評価早期着手を求めた。

大会決議は他に▽老朽化対策と長期安定的な道路整備のための予算確保▽九州中央道への予算重点配分▽全事業中区間の開通予定年度明示▽北方延岡道路、九州中央道の国による維持管理。

九州中央道は、法廷名称・九州横断自動車道延岡線。総延長約95㌔で熊本県嘉島町~宮崎県延岡市を東西に結ぶ。平成27年度には蔵田~北方間(延長4.6㌔)、平成30年度に小池高山~北中島(延長10.8㌔)が開通の予定。9月15日現在、未事業化区間は計画延長の5割を超える約54㌔。

早期の大型車対応を要望駒寄スマートICで関越道IC関連道路同盟会2014年09月15日

対象車種が限定されている駒寄スマートICの大型車対応化に向け、関越自動車道IC設置及び関連道路建設促進期成同盟会(会長=山本龍前橋市長)は8月29日、野上浩太郎副大臣や中原八一政務官等に整備への協力支援を求める要望を行った。

要望活動には会長代行として前橋市の細野初男副市長と吉岡町の石関昭町長が参加。中曽根弘文参議院議員が同行した。

駒寄PAは、スマートICの“第1期生”として平成16年12月~18年9月にかけて社会実験を実施。その後、平成18年10月1日から24時間利用による本格運用を始めた。25年度の平均利用台数は1日約5900台で全国的にもトップクラスとなっている。

要望団は、駒寄スマートIC周辺のBPで、大型ショッピングセンターなどの民間開発等が進んでいることを挙げ、「早期の大型車対応化が求められている」と説明し、整備への協力と、アクセス道路整備のための社会資本整備総合交付金の総額確保を求めた。野上副大臣は、要望に理解を示しつつ「できる限り早期に整備されるよう、交付金で支援協力したい」と応えた。

同盟会は、駒寄スマートICの大型車対応化に向け今年3月、国土交通省とNEXCO東日本などに変更実施計画書を提出し、受理されている。

津軽自動車道の未事業化区間柏~浮田間計画段階評価に着手2014年09月05日

青森県青森市~鰺ヶ沢町を約38㌔で結ぶ一般国道自動車専用道路「津軽自動車道」でまだ事業化されていない柏~浮田間(延長約13㌔)の事業が、いよいよ動き出すことになった。

8月29日、宮城県仙台市内で社会資本整備審議会道路分科会東北地方小委員会(委員長=大滝精一東北大学大学院経済学研究科教授)が開かれ、事業化の前提となる計画段階評価に着手した。

宮城県仙台市内で行われた委員会では、対象地域を通過する国道101号では地吹雪が冬期日数の約5~6割発生する厳しい気象条件であり、道路交通への影響が大きいことや、死傷事故率100件/億台㌔以上の箇所が10カ所存在する上、区間最大では680件/億台㌔と国道101号ワースト1である状況等を確認した。

委員からは「地震による津波被害が想定される地域であるため、防災・災害面におけるリダンダンシー確保の観点からも早急に整備が必要である」といった意見が出され、大滝委員長は「(手続きを)さらに先に進めることにしたい」とまとめた。

今後、道路利用者・住民へのアンケートや、企業等へのヒアリングが行われ、早期事業化に向けルート帯等を探って行く方針。

同区間については8月5日、青森県庁で三村申吾知事と会談した太田昭宏国交相が、「8月中の計画段階評価手続き着手」を明言していた。

【計画段階評価】

公共事業の効率性、実施過程の透明性の一層の向上を図るため平成22年夏から導入。対象は国交省が所管する直轄事業等のうち、維持・管理、災害復旧に係る事業を除くもの。各地方整備局の地方小委員会で審議され、社会資本整備審議会事業評価部会が対応方針を決定する。

現在、津軽道のほか、帯広・広尾自動車道(大樹~広尾)、東北中央自動車道(昭和~金山、及位~上院内、下院内~雄勝こまち)、中部横断自動車道(長坂~八千穂)、山陰自動車道(はわい~大栄東伯)、四国横断自動車道(佐賀~四万十)、東九州自動車道(日南~志布志)等で計画段階評価手続きが進んでいる。

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