8月25日、各省庁の2023年度予算概算要求が出揃った。国土交通省道路局がまとめた2023年度道路関係予算概算要求は、国費ベースで対前年度比19%増の2兆5176億円、事業費ベースで同23%増の5兆8766億円を計上。特別枠「重要政策推進枠」として高規格道路等の道路ネットワーク整備や三大都市圏環状道路の重点的整備、老朽化対策の更なる推進に計6102億円が要望され、全体要求額が拡充された。防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策は事項要求を行い、予算編成過程で検討していく。
要求額の内訳は、国費ベースで直轄事業が対前年度比19%増の1兆9026億円、補助事業が同19%増の6034億円。直轄事業のうち、改築その他に1兆2702億円、維持修繕に5198億円が計上された。
6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」等に基づいて設けられた重要政策推進枠では、道路関係として「道路ネットワークによる地域・拠点の連携確保」に2891億円、「効率的な物流ネットワークの強化」に2277億円、「道路の老朽化対策の更なる推進」に934億円が計上された。
要求に当たっては、主要施策として①防災・減災、国土強靭化②予防保全による老朽化対策③人流・物流を支えるネットワーク・拠点の整備④道路空間の安全・安心や賑わいの創出⑤道路システムのDX⑥GXの推進による脱炭素社会の実現――6点の基本方針が示された。
老朽化対策では、橋梁やトンネルなどについて、大規模な修繕・補修が必要になる前にメンテナンスする予防保全を徹底し、中長期的なコスト低減を図る方針。新技術の導入に必要な技術基準類等の整備も迅速に進め、新技術の積極的な活用を図るとともに、点検技術者の資格取得を促し維持管理の効率化、高度化を目指す。
ネットワーク整備では、昨年7月策定の「新広域道路交通計画」を踏まえ、重要物流道路の個別補助制度も活用しつつ、計画的に道路ネットワークの調査や整備を行い、機能強化を推進していく。また、高速道路等のネットワークへのアクセス性の向上を図るため、スマートICやアクセス道路の整備を支援。民間発意と負担による整備を可能とした民間施設直結スマートIC制度も推進する。
高速道路や有料道路については、施設の更新や暫定2車線区間の4車線化等の財源確保のため、23年度中に料金徴収期間の延長や整備費用の債務償還期間の変更に必要な法改正を目指す。