国土交通省東北地方整備局が、東日本大震災からの復興のリーディングプロジェクトとして整備が進められている復興道路の三陸沿岸道路・気仙沼港IC~唐桑半島IC間(延長7・3㌔)が3月6日に開通する。間もなく震災から10年の節目を迎えるが、年内には岩手県の残る区間も含め、全線が開通する予定となっている。
今回の開通で、宮城県内の三陸沿岸道は待望の全線開通となり、仙台市と岩手県宮古市が直結する。これにより、気仙沼港付近では、東日本大震災時の津波浸水区域をすべて回避するなど、災害時の代替性確保によるネットワークの信頼性が向上。主要都市間の移動時間が大幅に短縮され、災害発生時の迅速な復旧活動を支援する。
また、区間内には東北最大の斜張橋「気仙沼湾横断橋」(延長1344㍍)が完成。愛称「かなえおおはし」と命名された同橋を復興のシンボルとして、新たな観光資源に活用。地域では、ポストコロナ時代を見据えた三陸沿岸地域の広域周遊観光振興等が期待されている。
気仙沼市の主要産業である水産加工業は、東日本大震災により大きな被害を受けたが、出荷額は震災前の9割程度の水準まで回復。三陸沿岸道路の整備により、気仙沼港からだけでなく、宮古市や大船渡市も含めた三陸沿岸地区からの水産物調達の選択肢も増え、生産、出荷の安定性に寄与し、地域産業の支援につながるものと見られている。
開通式は同日午前11時から気仙沼市大浦の浦島大橋IC付近で開催。午後3時半に開通する。