国土交通省は道路脇にある斜面の防災点検で、3D点群データの活用を原則化する。航空レーザー測量で取得したデータを分析し、現地で確認する箇所を抽出する。広範囲の状況が効率的に把握でき、捕捉できるリスクの種類も増える。
25日に開かれた社会資本整備審議会道路分科会の道路技術小委員会(二羽淳一郎委員長・東京工業大学名誉教授)で「3D点群データを活用した道路斜面災害リスク箇所の抽出要領」案が了承された。近く決定し道路管理者等に活用を促していく。
同要領は国や自治体、高速道路会社といった道路管理者や委託を受けた業者が活用する。国交省では1平方㍍当たり4点以上の座標を取得すれば、斜面の災害要因を漏れなく見つけられると見込んでいる。
対象は山間部を走るすべての区間。平地であっても、落石や土石流、地滑りといった被害を受ける可能性がある区間を対象とする。データを使えば、地山の内部に緩みが発生する現象「岩盤クリープ」が察知できるようになる。従来の要領は判読する項目を含めていなかったが、新要領で含めることにした。
現地確認の結果はデータに加筆する形で記録。情報が蓄積でき、以降の対策に活かせる。
従来は等高線で記録した地形図と航空写真をもとに、技術者が地形を判読して現地確認する箇所を抽出していた。難易度が高い作業で、抽出結果には技術者による個人差が大きかったと指摘されていた。