「道路インフラマネジメント」講演会 全高速・NPO道路安全向上協が共催

[caption id="attachment_2721" align="alignleft" width="300" caption="熱心に耳を傾ける受講者(名古屋市 ナディアパーク)"][/caption]

全国高速道路建設協議会(会長=尾﨑正直高知県知事)は、NPO道路の安全性向上協議会と共催で講演会「道路インフラマネジメント」を愛知県名古屋市のナディアパークで開催した。講師にはNPOの理事長でもある藤野陽三氏(横浜国立大学先端科学高等研究院上席特別教授)と酒井秀昭氏(NEXCO中日本技術・建設本部専門主幹)を迎え、道路インフラマネジメントに関する講義を約180人が熱心に聴講した。

冒頭に中部地方整備局長の茅野牧夫氏が「大規模構造物の点検が義務付けられた中、このような講演会等を通じて技術向上が出来るのは大変ありがたいこと」と挨拶した。

講演では、まず藤野氏が「社会共通資本であるインフラは、首都高速道路のように50年前の東京オリンピックに合わせて建設された時よりも、現在の方が経済活動への寄与など利用価値が上昇するものもある」とインフラの役割や価値について解説。そして「高齢化社会を迎えた現在、GDPよりボリュームの多いインフラをどう維持するかが大きな課題」と問題提起した。

さらに「東日本大震災の時に東北自動車道が2週間で再開したのは、兵庫県南部地震を教訓に耐震補強を行っていたためである。補修をしていなかった場合としていた場合の社会的損失をきちんと数字化して、社会に維持管理の理解を得なくてはいけない」と一般社会との関係も示唆した。

また、「土木技術者と電磁波などの先端技術者が協力しないと本当に使いたい先端技術は出てこない。技術者も分野を超えたネットワークを構築してマーケット性のある技術開発をすべき」と今後の姿勢も提示した。

続いて酒井氏が「維持管理で大切なことは、診断技術の確立である。構造物の劣化の評価方法を明確化、明文化させることにより、点検者によって結果が違うというばらつきをなくすことが出来る」と点検評価の統一性を指摘。そして「構造物の変状を発見したら放置しないということ。早期補修をすれば安価で済むが、放置すると劣化や変状が進み補修費が上がる」と素早い対応の重要性を説いた。

また、「インフラの維持管理をスムーズに行うためにはサプライチェーンマネジメントが土木にも必要になってくる」と情報共有による管理手法の重要性を指摘した。

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