ネットワーク化で高い整備効果 年平均1500億円の経済効果 新名神・高槻~神戸間、開通して5年

[caption id="attachment_13373" align="alignleft" width="300"] 新たな国土軸として機能する新名神(川西IC付近)[/caption]

今夏に閣議決定される次期国土形成計画(2023~32年度)の素案に、「シームレスな拠点連結型国土」の具体化に向けて、3大都市圏を繋げる「日本中央回廊」の重要インフラと位置付けられた新東名・新名神高速道路。昨年4月に開通した新東名・伊勢原大山IC~新秦野IC間では、1年が経過して同区間を含めた沿線では土地利用と開発が推進。また開通して5年を迎えた新名神では高槻JCT・IC~神戸JCT間では、19~22年に年平均約1500億円以上の経済波及効果を生み出していることがNEXCO西日本より示された。早期の全線開通は国家的課題となっている。

NEXCO西日本はこのほど、関西支社が管理している新名神高速道路・高槻JCT・IC~神戸JCT間(延長43.1㌔)が2018年3月18日に開通してから5年を迎えるにあたり、並行する中国道の渋滞が減少し、19年~22年に年平均約1500億円以上の経済波及効果があったと発表した。

新名神高速道路は愛知県名古屋市~兵庫県神戸市間の延長174㌔、東名・名神・中国道と一体となった「国土軸のダブルルート」として、我が国の産業・文化・社会経済活動に寄与する道路として整備が進められている。

並行する名神・中国道の一日の平均交通量は、17年に9万8千台だったのが、22年には6万6千台と33%減少。名神・中国道と新名神を合わせた渋滞発生回数は、17年に1050回だったのが22年には510回と51%減少した。渋滞による事故件数も17年350件だったのが22年160回と54%減少するなど、渋滞・事故共減少した。

並行する国道176号の12時間当たりの交通量は、17年は1万6600台だったのが21年には1万5700台と約900台減少し、最大渋滞長は17年に1580㍍だったのが21年には950㍍と約630㍍減少した。国道171号についても、12時間当たりの交通量は17年に2万7300台だったのが18年には2万5400台と約1900台減少、最大渋滞長も17年200㍍だったのが18年50㍍と約150㍍減少し、一般道の渋滞も緩和された。

新名神を迂回路に 中国道リニューアル実現

また、名神・中国道と新名神とのダブルルート化で、混雑時や事故などによる通行止めの際にルート選択が可能になった。高槻JCT・IC~神戸JCTの所要時間を見ると、開通前には26分~64分と38分のばらつきがあったが、開通後は26分~30分と4分のばらつきとなり、定時性が向上した。21年に行われた中国道・吹田JCT~中国池田IC間を39日間終日通行止めにするリニューアル工事は、新名神とう強力な迂回路が確保されたことで実現した。

新名神を走る約5割は大型車で、高槻JCT・IC~神戸JCTを通過する大型車の約9割は新名神ルートを選択している。沿線の物流施設は11年に3件だったのが21年に44件と約40件増加、大規模小売店舗も11年に13件だったのが22年に132件と約120件増加し、物流を支える重要な道路となっている。

沿線地域の利便性も向上し、17年に高速道路へ15分内にアクセスできる人数は約194万人だったのが、22年には約233万人と39万人増加。高速道路を利用し沿線地域へ来る人が開通前には年間1046万人だったのが開通4年後には1291万人と約20%増加し、地域が活性化したなど様々な効果が見られた。

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