中部横断道 山梨~静岡 待望の全通へ 南部~下部温泉早川間8月29日に開通

中部横断自動車道の南部IC~下部温泉早川IC間(延長約13・2㌔)が8月29日午後4時に開通した。これにより、静岡県静岡市~長野県佐久市を約132㌔で結ぶ中部横断道は、山梨~静岡を繋ぐ双葉JCT~新清水JCT間(延長74・3㌔)の南側区間が全線開通した。当初は2017年度の全線開通を予定していたが、もろい地盤などの影響で工事が難航し、3度にわたって開通見通しを延期。約4年遅れの待望の開通となった。

新設された身延山IC付近本線上で開通式典が開催され、長崎幸太郎山梨県知事や川勝平太静岡県知事、望月幹也身延町長、佐野和広南部町長などの沿線首長、国会議員、国土交通省など関係者約130人が出席し、テープカットやくす玉開披、関係車両による通り初めで開通を祝った。

長崎知事は「山々に囲まれた山梨県にとって長年待ち望んでいた開通。経済や観光の活性化に計り知れない効果が期待される」と挨拶。川勝知事は「開通により文字通り富士山一周ということになった。富士山の表玄関を預かる静岡県と富士山の奥座敷の山梨県との一体感が一段と深まる」と述べた。

午後4時の開通を前に、身延山IC前には、待ちわびた多くの車列ができ、開通と同時に次々と一般車両が通行した。
中部横断道の北側区間にあたる山梨と長野を結ぶ長坂JCT~佐久小諸JCTのうち、唯一事業化されていない長坂JCT~八千穂高原IC間は、国が現在、環境影響評価の手続きを進めている。

■開通効果両県で317億円

今回の開通により、中央道と新東名、東名が高速道路で直結。富士山を囲む新たな広域周遊観光ルートが形成され、首都圏・中京圏からの誘客が見込まれ、山梨・静岡両県における観光の活性化などが期待される。

昨年11月8日に公表された、山梨経済同友会と山梨大学が全線開通による経済波及効果の試算によると、山梨県の経済効果は年間135億円、地域内総生産を0・4%上昇させる計算だ。一方、静岡県の経済効果は182億円と試算されており、全線開通効果は大きい。

■南側全通でバス路線再開

中部横断道の全線開通にあわせ、しずてつジャストラインと山梨交通は8月29日、新型コロナの影響で運休していた高速バス「静岡甲府線」の運行を再開した。

静岡駅から身延、甲府駅を経て竜王までを結ぶ同路線は、土日、休日のみ2往復運行する。運賃は片道2600円、往復4680円。

山梨交通によると、中部横断道の開通により、静岡駅から甲府駅までの所要時間はこれまでの2時間10分から約15分短縮し、約1時間55分になり、利便性向上が見込まれるとしている。

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