2016年頭所感 全高速会長 尾﨑正直(高知県知事)

16年の年頭にあたりまして、謹んで新春のお慶びを申し上げます。

全国高速道路建設協議会の諸活動につきましては、常任世話人の国会議員の先生方をはじめ、各都道府県の知事や議会議長、関係市町村の皆様に、日頃から多大なご尽力とご指導を賜り、厚くお礼申し上げます。

高速自動車国道を核とする高規格幹線道路網は、昨年355kmが開通し、供用率は79%となり、年々整備が進捗しています。しかしながら、高規格幹線道路網1万4000kmが閣議決定されてから28年が経過した現在でも、全国には未だミッシングリンクが多く残されています。発生すれば甚大な被害をもたらすと想定されている南海トラフ地震や首都直下地震、また、激甚化している大雨等による大規模災害に備え、発生後も緊急輸送等が確実に実施でき、国民が安全で安心して生産活動を続けていくためには、高規格幹線道路網を早期に整備することが必要不可欠です。

さらに、人口減少を克服し、地域の特性を活かした取り組みを支え、地方創生と地方の成長を実現するためにも、開通によってもたらされるストック効果が全国津々浦々で最大限に発揮されるようミッシングリンクを早急に解消し、高速道路ネットワークを構築することが重要です。

また、高速道路の重要な使命である速達性、安全性、定時性を確保し、機能を十分に発揮するため、暫定2車線等の交通隘路区間や大都市周辺における恒常的な渋滞区間の改修も喫緊の課題となっています。昨年11月には、高速自動車国道法施行令等が改正され、暫定2車線区間の4車線化等について、国土開発幹線自動車道建設会議の議を経ることなく機動的な対応を行うことが可能となりました。今後の事業化においては、今まで以上に地方の声を聞いていただき、その実情を把握していただいたうえで、早期に整備を進めていただく必要があると考えています。

これに加えて、地域と高速道路とのアクセスを向上し連携を強化するスマートICの整備も重要となっています。昨年から、準備段階において必要性が確認できる箇所等について国が調査を行う準備段階調査が設けられ、まずは全国17箇所で調査が実施されることになりました。地域活性化に大きく寄与するスマートICの整備が、今後着実に進むものと期待しています。

一方、高速道路の老朽化対策についても着実に進めていかなければなりません。中央自動車道笹子トンネルの天井板崩落事故の発生から3年余りが経過しました。この事故により高度経済成長期に集中的に整備された道路施設の老朽化が大きな社会問題となり、戦略的な維持管理や更新への取り組みが進められています。これまでに、高速道路会社が管理する高速道路については、大規模更新、大規模修繕に対応するため料金徴収期間が延長され、必要な財源が確保されることになりました。国が管理する高速道路についても、維持や修繕に必要な予算が確実に確保され、日本の基幹インフラである高速道路を将来にわたって安全で安心して利用することができるよう、老朽化対策を計画的に進めていただきたいと考えております。

地方の総意である高規格幹線道路網の早期整備や暫定2車線区間の4車線化の早期実現、老朽化対策の計画的な推進、スマートICの整備等のためには、予算の確保が不可欠です。全高速としましては、引き続き国に対して、会員の皆様とともに強く要請してまいります。

関係各位の今後一層のご指導、ご支援をお願い申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

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