全高速第54回総会②（全高速会長挨拶、来賓メッセージ）

高規格幹線道路１万４０００㌔のネットワークの完成を目指して、今後ともミッシングリンクの解消に全力を挙げていかなければならない。更に暫定２車線、４車線区間、こちらも早期の解消に向けての取り組みを更に進めなければならないし、耐震化、老朽化の対処を着実に進めるとともに、スマートＩＣをはじめ、利便性の劇的な向上に向けた対策についても加速していかなければならない状況だ。

現在、生産性革命や働き方改革の議論がされている。高速道路の建設ほど、生産性革命に資するものはない。１企業、１団体の生産性革命に止まらず、その地域社会全体の生産性向上に資するのが高速道路である。

更にドライバー不足も深刻化していく中で、高速道路の建設によって働き方改革、これも全国的に推進されていく。生産性革命、働き方改革の推進に止まらず、高速道路網の整備によって地域と地域を結ぶ広域が劇的に拡大し、その地域の新しい展望が拓けていくことになる。

防災対策の観点からも、高速道路が非常に重要であることは論を待たない。残念ながら南海トラフ地震など高い津波が想定されているところほどミッシングリンクが残っている状況は未だ変わらない。豪雨災害で真っ先に復旧したのが高速道路であったこと、北海道の事例を見てもそうだった。多くの皆さんが高速道路の強靭さはご存じだと思う。防災対策の要としても、高速道路の整備促進が重要な課題であることは言うまでもない。

今回、改めて数えてみた。ミッシングリンクを抱えている都道府県はどれだけあるか。全国でまだ40都道府県ある。暫定２車線の課題を抱えているのは39道府県、そしてスマートＩＣの事業中、計画中のところが全部で33府県ある。すべて合わせると47都道府県ということになる。

高速道路の整備というのは全国47都道府県の問題だ。全国の皆さん、48期成同盟会の皆さんと団結して、高速道路整備の更なる加速化に向け取り組んでいく。

東日本大震災から７年余りが経過した。その後も熊本地震、そして昨年は九州北部の豪雨被害など大規模な自然災害が発生している。その度ごとに「命の道」として高速道路ネットワークの重要性が認識されている。東日本大震災からの復興を加速させるために昨年、常磐道では４車線化事業に着手した。復旧道路、復興支援道路、これらも20年まで完成させたい、その思いだ。

高速道路ネットワークは繋がってこそ本来の機能が発揮される。圏央道も成田から湘南まで、新名神高速道路も高槻から神戸まで繋がった。この沿線では物流施設がしっかりと立地し、また立地が加速する中で地価が上昇するなど、目に見える大きなストック効果が表れてきた。全国に残されているミッシングリンク、しっかりと一日も早い解消に向けて全力を挙げてまいりたい。

国土交通省では、生産性革命を深める年と位置付けている。いわゆるピンポイント渋滞対策、またダブル連結トラック及びトラック隊列自動走行の実証実験など個々のプロジェクトも今、進めており、是非これらを確実なものにしていきたい。

高速道路の約４割を占める暫定２車線区間においては、著しい速度低下が見られるほか、反対車線に飛び出して痛ましい事故が頻発している。全国３７０㌔で実施中の４車線化事業化や付加車線設置の早期完成を目指していく。

全国からはスマートＩＣの要望もいただいている。高速道路へのアクセスが改善されることによって企業誘致や、そして何よりも観光振興に成功している事例も多数報告をいただいている。これについても、しっかり前に進めていく。

高速道路整備によるストック効果を実感する声、高速道路の早期整備を期待する声を多くいただいている。国土交通省としても、これら施策を来年度以降もしっかりと実証し、必要な道路予算を安定的に確保していかなければならない。本日の総会を通じて、高速道路がしっかりネットワークされるため、我々も全力を尽くしていく。

高速道路は平常時において生活、経済活動に欠かせない我が国の物流を支える大動脈として、また緊急時には被災地への救援物資の輸送を支える「命の道」として経済の活性化のみならず、国民の安全・安心を守る重要な社会基盤である。しかしながら、現在の高規格幹線道路の供用率は８割台に留まっている。連続したネットワークが形成されておらず、その機能を最大限に発揮するためにもミッシングリンクの早期解消が強く求められている。

今国会において、地方公共団体に対する道路の改築に関する国の負担、また補助の割合の特例措置の適用期間の延長や、平常時、災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国土交通大臣による重要物流道路の指定に関する制度の創設などを内容とする改正道路法等が成立した。これにより、今後も高速道路が有効に活用され、老朽化対策や災害時においても機能するネットワークの構築に一層寄与するものと期待している。

衆議院国土交通委員会として、高速道路の果たす役割の重要性に鑑み、皆さんのご意見をしっかりと受け止めていきたい。

党のＩＴＳ推進・道路調査会長も務めている我がふるさとの山陰道はまだブツブツで、切れてばっかりの状況で繋がっていない。道路調査会長になったら良いことがあるかと思ったが、実際になってみると自分のところは言えない。自分のことをさて置いて、全国の高速道路のネットワークをしっかりやりぬいていかなければならんという強い思いだ。

道路予算はピーク時には５兆４千億円あったが、今は２兆円ほどに減っている。いろんな経緯があったが、一番ひどかったのが「コンクリートから人へ」の時で、どんどん削られていった。

皆さんも感じていると思うが、地元の陳情や要請の８割、９割が道路だ。地元の要請が一番強い道路をしっかりやっていく。そして、社会資本の柱である高速道路のネットワークをしっかり仕上げていくというのは、日本にとって大事であると同時に、今を生きる我々だけでなく、子供たちや孫たちに対しても、歯を食いしばって造り上げておかなければならない日本の資産だと認識している。

高速道路のネットワークの１日も早い完成、そして暫定２車線を拡幅する、スマートＩＣなど使い勝手を良くしていくという改良を進めていく。そのための汗を懸命に欠き続けていく。

東日本大震災から７年が経過した。いろいろな方の支援もあり、高速道路としての復興道路、復興支援道路が着実に、スピード感を持って整備されている。開通式に参加させていただくが、復興が着実に、また非常に加速することが感じられ、被災地の方々の笑顔が戻る、そういう姿を見ると感無量だ。

高速道路は我が国の産業の発展や地方創生に不可欠な社会資本であると同時に「命の道」である。東日本大震災や熊本地震など、近年相次ぐ自然災害において、救急救命活動や復旧復興の基盤となっている。災害時における緊急道路、あるいは代替ルートの確保のためにもミッシングリンクの早期解消は喫緊の課題となっている。

財政事情が厳しい中、今年度、大都市圏の環状道路等に財投の活用が盛り込まれた。来年度予算についても、様々な工夫を凝らし、高速道路の整備が一歩でも二歩でも前に早く進むよう、引き続き全力で取り組む。

全高速決議を実現するためには、道路財源を確保しなければならない。少子高齢化対策に対応する社会保障関連予算の急増、更にはプライマリーバランスの黒字化、私どもはこの課題に挟撃されており、決して楽観できる状況にはない。

来年の10月１日、消費税が８％から10％になる。ＥＵ諸国の消費税平均20％を見ても、現状では10％でも足りない。こうしたことを視野に入れながら、どう道路予算を確保していくか。全高速決議の項目は卵であり、これを生み出す鶏をどうつくっていくか。尾﨑会長はじめ、全高速の皆さんとともに、予算確保へ全力で取り組んでいきたい。

全国高速道路建設協議会第五十四回総会決議（案）

高規格幹線道路網1万4000キロメートルは、我が国の産業発展に資するとともに、国民の命を守る社会資本の要である。

利用の信頼性と安全性が高い高速道路ネットワークの構築に向け、ミッシングリンクの解消及び暫定開通区間の機能強化を早期に実現し、ストック効果の早期発揮につなげるとともに、安全・安心対策、国土強靱化や老朽化対策を着実に推進するため、全国高速道路建設協議会では、地方の総意として、次の事項を強く要望する。

一、高規格幹線道路網1万4000キロメートルの早期整備

一、事業中区間の整備スピードアップと開通時期の早期提示

一、未事業化区間の計画段階評価などの速やかな実施と早期事業化

一、暫定２車線区間の４車線化や正面衝突事故防止対策、逆走対策をはじめとする安全対策の早期実現

一、物流の主要幹線である新東名・新名神の６車線化による機能強化

一、跨道橋等の横断構造物も含め、高速道路ネットワークの耐震強化

一、大規模更新・大規模修繕の計画的な実施

一、大都市周辺の恒常的な渋滞区間におけるピンポイント渋滞対策等の実施

一、アクセス道路を含めたスマートＩＣや民間施設直結スマートＩＣの整備、ＳＡ・ＰＡの整備・防災拠点化など地域との連携

一、高速道路のナンバリングなど訪日外国人旅行者も含めた利用者が安心して快適に高速道路を利用できる環境の整備

高速道路ネットワークの整備を着実に実現するため、平成31年度予算では道路関係予算を拡大した上で、所要額を満額確保すること。

平成30年5月29日

全国高速道路建設協議会