国交省 新たな広域道路ネットワーク 中間とりまとめ案を審議 「広域道路」「特定広域道路」規定

国土交通省は5月25日、「新たな広域道路ネットワークに関する検討会」(座長=朝倉康夫東工大環境・社会理工学院教授)の第3回会合をWEB会議で行い、中間とりまとめ案を審議した。今後、各地域で広域道路ネットワークに関する具体的な検討を進める上で前提となる現状の課題や、課題を踏まえた基本戦略、基本戦略を実現するために高規格幹線道路ともに新たに位置付ける「広域道路」(仮称)、「特定広域道路」(同)に求められる機能・役割等を整理した。

広域道路ネットワークに関する現状認識として、諸外国と比較した都市間連絡速度の遅さや、高速道路・一般道における渋滞、高速道路と交通拠点とのアクセス性、リダンダンシー等の増大する災害リスク、インフラの老朽化、国際海上コンテナ車などトラックの大型化といった課題が抽出された。

加えて、新型コロナウイルス感染拡大によって、物流の維持に欠かせないトラックドライバーの不足が改めて浮き彫りとなったことも明記。スーパー・メガリージョン構想や自動運転などの新技術といった時代の変化も踏まえ「現状の課題への対応と今後の道路ネットワーク計画の再構築が必要」と結論付けた。

その上で、広域道路ネットワークの効率的な強化に向け、①中枢中核都市等を核としたブロック都市圏の形成②我が国を牽引する大都市圏等の競争力や魅力の向上③空港・港湾等の交通拠点へのアクセス強化④災害に備えたリダンダンシーの確保・国土強靭化⑤国土の更なる有効活用や適性の管理――の5項目が基本戦略として掲げられた。

基本戦略を実現するため、全国的な広域移動を支える高規格幹線道路を補完する広域道路ネットワークを「広域道路」「特定広域道路」の2階層に分け、その求められる機能・役割を規定した。

「広域道路」は、概ね40㌔/時以上のサービス速度とし、「特定広域道路」はより高い定時性、概ね60㌔/時以上のサービス速度が提供できる機能・役割として整理された。いずれも、平常時・災害時を問わない安定的な輸送や、交通事故に対する安全性、自動運転などの将来のモビリティーへの備えに対応する。

高規格幹線道路約1万4000㌔を支える地域高規格道路については、1994年に広域道路整備基本計画が策定され、1998年に見直しが行われたが、その後約20年間見直しが行われていないことに加え、現状、事業進捗は半ばの状況にある。「そのため、新たな課題や実情を踏まえ、高規格幹線道路を支える広域道路ネットワークの見直しが必要な状況にある」との認識から、今回、中間とりまとめ案がまとめられた。

その後、8日には正式に中間とりまとめが提示された。これに基づき、都道府県や地方整備局において具体的なビジョンづくり等に着手されることになる。

検討会概要資料(2面)

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