■年頭所感 全高速会長 尾﨑正直(高知県知事)

2017年の年頭にあたりまして、謹んで新春のお慶びを申し上げます。

全国高速道路建設協議会の諸活動につきましては、常任世話人の国会議員の先生方をはじめ、各都道府県の知事や議会議長、関係市町村の皆様に、日頃から多大なご尽力とご指導を賜り、厚くお礼申し上げます。

高速自動車国道を核とする高規格幹線道路網1万4000㌔につきましては、着実に整備が進められており、昨年新たに134㌔が開通し、全体計画延長に対する供用率は8割を超えました。しかしながら、残る2割のミッシングリンク区間の早期整備をはじめ、暫定2車線区間の4車線化や渋滞区間の解消等、生産性の向上やストック効果の最大化を図るとともに、発生すれば甚大な被害をもたらすと想定されている南海トラフ地震や首都直下地震、激甚化する水害等に備えるうえで解決すべき課題が多く残されています。

昨年の台風第10号による豪雨災害では、北海道において日高山脈を越え道央と道東とを結ぶ国道や鉄道等に甚大な被害が発生し、長期間の通行止めや不通が生じました。阿寒ICまで開通している「道東自動車道」もトマムIC~十勝清水IC間で土砂流出により通行止めとなりましたが、早期に啓開が完了し、一部利用区間で無料措置がなされ、58時間で通行が再開されました。これにより、寸断した国道や鉄道の代替として高速道路が、農産物の首都圏への供給や鉄道代行バスの運行など、物流や人流を大きく支えました。

また、熊本地震では、「九州自動車道」における盛土の崩壊や「大分自動車道」での法面の崩壊により通行止めとなったものの、被災した箇所が完成形の4車線により整備されていたため、片方の2車線を先行して啓開し、対面通行による短期間での通行再開につながりました。

この2つの災害における高速道路の整備効果が示すとおり、大規模災害時における緊急輸送はもちろん、拠点地域間の人流・物流を確実に確保し、長期間の経済活動への影響を回避するためには、災害に強い高速道路ネットワークは早期に確保されなければなりません。

この後押しとなる新たな取り組みとして、昨年、暫定2車線区間における付加車線設置検証路線として4路線5区間が選定され事業が進められています。4車線化を着実に進め、重大事故発生の抑制や走行速度の向上による安全性、走行性等の確保することが重要です。

さらに、高速道路から物流拠点や観光地等へダイレクトにアクセスすることが可能となるスマートICの整備も重要です。整備により地方による産業振興等の取り組みと一体となって、生産性の向上や経済の好循環の拡大により地域に大きな効果がもたらされるため、アクセス道路とともに着実に整備が進められる必要があります。

一方、日本の基幹インフラである高速道路を将来にわたって安全で安心に利用できるよう、老朽化対策を計画的に進めなければなりません。高速道路会社が管理する高速道路については、対策に必要な財源が料金徴収期間の延長により確保され、昨年から「高速道路リニューアルプロジェクト 大規模更新・修繕事業」として本格的にスタートしております。

高速道路が抱える課題を着実に解消し、信頼性と安定性が高い高規格幹線道路網を早期に構築するためには、予算の確保が不可欠です。全高速としましては、会員の皆さまとともに、引き続き国に訴えてまいります。

関係各位の一層のご指導、ご支援をお願い申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

全国高速道路建設協議会会長 尾﨑 正直(高知県知事)

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