年頭所感 全国高速道路建設協議会会長 村井 嘉浩(宮城県知事)

整備財源の長期安定的な確保へ全力

全国高速道路建設協議会の諸活動につきまして,常任世話人の国会議員の先生方をはじめ,各都道府県の知事や議会議長,関係市町村長の皆様に,日頃から多大な御尽力と御指導を賜り,厚くお礼申し上げます。

全高速では,災害の脅威とポストコロナ時代の「新たな日常」に対応していくため,ミッシングリンクの解消によるダブルネットワークの構築や暫定2車線区間の4車線化,スマートICの整備など既存高速道路の機能強化に向け,国等への要請活動を展開してまいりました。

このような中,地球温暖化の影響が顕著となっており,激甚化・頻発化する自然災害により,毎年痛ましい事故が発生しています。昨年も7,8月にかけ北海道や東北,北陸を中心に記録的な大雨が発生したほか,9月の台風14号では西日本を中心に記録的な大雨と暴風となり,続く15号では豪雨災害により東海地方,特に静岡県に甚大な被害をもたらしました。12月には,日本海側を中心に猛烈な寒波が襲来し,豪雪による被害も報告されています。

これらの地域では,道路の損壊や法面崩落等によりライフラインが寸断され,住民の社会経済活動の維持に重大な支障を来す結果となりました。

また,3月には宮城県,福島県で,6月には石川県で震度6強の大規模地震が発生しました。今後発生すれば甚大な被害が想定される南海トラフ地震,首都圏直下型地震など大規模地震への備えも急務となっています。

こうした大規模災害時における広域支援ルートとして,国民の命を守る社会資本の要が高規格道路であり,災害時だけでなく,平時においても安定的な人流・物流を支える強靱な国土幹線道路ネットワークを構築していかなければなりません。

ミッシングリンクの解消につきましては,高規格道路は昨年約69kmが開通し,計画延長1万4000kmの供用率は87%で推移するなど,関係の皆様の御尽力により整備は着実に進んでおります。

一方,懸案となっています暫定2車線区間の4車線化につきましては,優先整備区間約880kmのうち,5か年で約5割の事業着手を目指す計画ですが,3か年目に当たる前年に事業化が決まった約43kmを加えても,事業実施箇所は約230kmに留まっております。これを更にスピードアップしていくためには,財政投融資の活用だけでなく,新たな財源措置が必要となってきます。

そして,将来にわたり高速道路の良好なインフラを持続的に利用し維持・更新事業を進めていくためには,例えば料金徴収期間の延長など必要な財源を安定的に確保していくことも不可欠となります。

国で進めている「防災・減災,国土強靱化のための5か年加速化対策」の拡充,そして対策後も継続して,切れ目なく実施していくため,強靱化に必要な予算・財源を長期安定的に確保していかなければなりません。

全高速では昨年,こうした地方の総意を直接,岸田総理,松野官房長官,鈴木財務相に申し入れさせていただきました。全高速,会員各団体の皆様の要望活動の成果として,国の財政が逼迫する中,2023年度政府予算におきまして,道路関係予算案は前年度から微増の2兆1183億円が計上されました。

23年度は更に高規格道路をはじめとした道路ネットワークの重要性を具体かつ,積極的に要請していくため,全高速における政府への提言活動をより拡充していく所存です。関係各位の一層の御指導,御支援をお願い申し上げ,年頭の挨拶とさせていただきます。

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