整備水準見直し提言 道路の耐災害性強化で有識者会議

「道路の耐災害性強化に向けた有識者会議」(家田仁政策研究大学院大学教授)は9日、大規模災害で落橋や盛り土区間の崩壊などの道路被害が多発している状況を踏まえ、施策の提言をまとめた。

有識者会議は、16年の熊本地震や昨年発生した大阪北部地震、北海道胆振東部地震、7月豪雨など近年の主な災害から得られた教訓をもとに課題を抽出。耐災害性強化の本格実施に向けて①「発災後の総括的交通マネジメント」実施体制の制度化②非常時における柔軟な車線運用のメニュー化と共有③災害に配慮した道路構造令等の見直し④道路ネットワークの耐災害性評価手法の充実と沿道リスクアセスメント制度の導入⑤迅速な復旧に向けたトレーニング強化⑥徒歩避難が困難な場合の避難手段の検討―の施策を示した。

このうち柔軟な車線運用では、路肩の積極的な活用による走行空間の確保を提言。可動式中央分離帯の活用を含むリバーシブルレーンの適用など、非常時に耐災害性を高める技術をメニュー化し、「これらを徹底的に活用するため関係者間で共有する仕組みづくりが必要」としている。

また、提言では「これまで経済性を優先するあまり、災害や大事故などの非常時に対する対応能力を減殺する結果を生じさせてきた」と指摘。「回復力・復元力のある構造として原則4車線化」としつつ、2車線道路の路肩を従来より拡幅することや、救急車等の緊急車両のための緊急入退出路の設置、更には緊急車両の駐車・停車機能強化のための道の駅やSA・PA等の容量拡大といった整備水準の見直しも提言された。

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