激甚化する災害「命の道」早期整備は不可欠 被災地に寄り添い全面復旧を

激甚化、頻発化する自然災害だが、今年も8月に豪雨災害が発生。河川の氾濫、土砂崩れ等が多発した。こうした場合、地域住民を支える道路においても通行止めが相次いだ現状から、国土強靱化は急務だ。赤羽一嘉国土交通大臣は9月19日、青森県むつ市を視察。「住民の“命の道”の全面復旧へ全力で支援する」と決意を語った。

下北縦貫道完成に理解 赤羽国交相 青森県むつ市を視察

赤羽一嘉国土交通大臣は、8月の記録的な豪雨で崩落した国道279号・小赤川橋の仮橋周辺を視察するため9月19日、被災した青森県むつ市大畑町を訪ねた。国道279号は、大間町から風間浦村、むつ市を経由し、野辺地町に至る延長約145㌔で、下北半島の北沿岸部を走る唯一の幹線道路。豪雨の影響で土砂崩れが相次ぎ、一時は約800人の住民が交通寸断により孤立。風間浦村桑畑と下風呂の3・5㌔区間が9月13日まで通行止めになっていた。

視察には、三村申吾知事、宮下宗一郎むつ市長、富岡宏風間浦村長、公明党から伊吹信一、畠山敬一の両県議、鎌田ちよ子、住吉年広の両市議が同行。宮下市長は「8月10日の橋崩落により、地元住民だけでなく、高齢者施設の入所者や下風呂温泉郷の宿泊客も孤立した」と説明。消防隊員らが落橋部を渡り、命がけの救出活動を展開したことなどを訴えた。

視察の後、むつ市役所で行われた意見交換では、三村知事と、三橋一三県議会議長が連名で、復旧・復興に関する要望書を手交。国直轄による復旧や、災害時の広域避難路となる下北半島縦貫道路の早期完成などを要請した。

赤羽大臣は、「国が仮橋を直轄で進めている以上、最後まで責任を持ってやらなければならないと思っている」と述べ、「被災者に寄り添いながら、住民の〝命の道路〟の全面復旧へ、全力で支援する」と応えた。

国道279号寸断で 危機意識高まる

「いつもは穏やかな下北に大雨が降るなんて」と驚くのが、下北半島縦貫道路の早期整備を求めて長年活動を続けている、むつ市の「下北未来塾」を率いる清川わか塾長。「小赤川橋崩落で、マグロで知られる大間や温泉地の下風呂への道が寸断され、困っている人が多い」と不安を語る。

国道279号は、津軽海峡と急傾斜地の隙間のわずかな平地を縫うように走っており、大地震や津波で甚大な被害を受ける可能性が高い。「生活道路がなければ病院にも通えない」。さらに、「建設中の大間原発も含め、原子力関連施設が林立する下北では、上も下もわからなくなる大雪も降るし、道路がなければ対処できない」と肩を落とす。

今回、赤羽大臣が直接現地を視察し、下北やむつ市の道路状況を子細に見ていただけたことは心強い。どうか一日も早く被災道路の復旧・復興と下北縦貫道も全通させてほしい」と希望を語った。

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