社整審・現地視察 ストック効果を検証 客観的な評価手法の確立を視野に

[caption id="attachment_2827" align="alignleft" width="300" caption="圏央道・狭山日高ICのETCレーン実験も視察"][/caption]

国土交通省の社会資本整備審議会・交通政策審議会交通体系分科会計画部会は18日、インフラのストック効果の発現状況、賢く使う取組の実効性等を確認することを目的に第1回現地視察会を実施。首都圏3環状を構成する圏央道の狭山日高IC~久喜白岡JCTのルートを走り、集積が著しい周辺の物流センターの現状や国交省とNEXCO東日本が取り組むETC開放運用実験の状況等を視察した。

視察先の一つ、プロロジスパーク川島は川島IC近くに造成された川島インター産業団地内に位置する。同団地は07年、埼玉県が策定した「田園都市産業ゾーン基本方針」の先導モデルに選定され、09年に完成。進出企業は10社で約千人の雇用創出を生み出したほか、埼玉県川島町の税収増にも貢献。同団地のみで固定資産税収入は年間約4億円に上り、町の固定資産税収入は川島IC開通後で約2割増加した。

プロロジスパーク川島を運営するのは、米国に本社を置くプロロジス社。複数企業が入居する物流インフラを展開する同社では、圏央道による利便性向上が同団地に進出する決め手となった。同社担当者は「今後、常磐自動車道と繋がれば、更に物流エリアが広がり、広域管轄拠点として立地ポテンシャルが高まる」と、圏央道の早期全線完成に期待を寄せる。

視察では、圏央道の延伸に比例して、沿線地域で物流施設の立地件数が順調に伸びている現状も示された。首都圏内で見ると、2000年以降の圏央道沿線への立地件数は410件で、これまでの主要立地先だった臨海部の390件を上回る実績を上げているという。

一方、賢く使う取組では、ストレスのない料金所導入に向け、ETCレバー開放運用実験を行っている狭山日高ICを視察。バーのない料金所の新設計に向けた課題について、意見交換が行われた。

公共投資の効果については近年、ストック効果の重要性が注目され、政府が今年9月に閣議決定した20年度までのインフラ整備の基本方針となる第4次社会資本整備重点計画では、ストック効果の最大化を図ることが基本理念として打ち出された。

ストック効果については、物流コストの低減といった経済的効果のほか、医療施設へのアクセス向上や防災減災への効果など経済的な側面以外でも様々な効用が含まれるため、諸外国でも客観的な評価モデルは確立されていない。

計画部会では今後、高速道路をはじめとするインフラが中長期的に発揮するストック効果の客観的な評価方法の取りまとめを、こうした現地視察を行いながら進めることにしている。

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