高速道路ストック効果顕著に 常磐道、舞鶴若狭道全通で地域活性化

高速道路のストック効果が顕著に表れている。今年3月、待望の全通を迎えた常磐自動車道では、沿線の福島県浜通りで全通後、過去最高の企業立地数を記録し、550億円の経済効果を発現。また、昨年7月に全通した舞鶴若狭自動車道の沿線でも、全通後1年で企業立地が相次ぎ、これに伴い約1000人の雇用創出が見込まれているという。地方創生の要として、高速道路のネットワーク効果は極めて大きいと言える。

国土交通省東北地方整備局と宮城県、福島県、仙台市、NEXCO東日本東北支社は16日、3月に全線開通した常磐自動車道(延長約350㌔)の開通後の交通量とストック効果を発表した。これによると、開通6カ月の交通量は、開通直後も堅調に推移。暫定2車線区間のいわき中央IC~岩沼IC間の日平均交通量は8300~1万9500台/日となっている。

常磐道沿線の福島県相馬市、いわき市、宮城県松島町の3地域の観光地では、観光入込客数が前年度比22万人増の452万人と、震災以降最高を記録。常磐道を利用した県外からの来訪者が増加するとともに、観光消費額も約25億円増加するなど、観光、経済両面で活性化に寄与した。

企業立地、雇用拡大の効果も大きかった。6月時点で沿線地域の企業立地数は38件と過去最高を記録。このうち、福島県浜通り地域の企業立地件数は31件、その経済効果は約550億円に上った。

浜通り地域では、常磐道の福島県区間の開通とともに新規高等学校卒業者求人倍率が着実に増加。南相馬~相馬間が開通した13年4月から全通した今年3月の間に1ポイント以上伸びて2・54と全国平均を上回る実績を示すなど、常磐道が地域経済を牽引していることを物語る結果となった。

昨年7月、小浜IC~敦賀JCT間が開通し、待望の全通が実現した舞鶴若狭自動車道。沿線地域で今年度以降、企業立地件数は新設・増設含め9件に上り、これに伴い今後約1000人の新規雇用が見込まれていることが、近畿地方整備局、NEXCO中日本、西日本等の調べで分かった。

観光面で見ると、福井県美浜町の海水浴場では関西方面からの来場者割合が約8%増加。舞鶴若狭道の全通により、海水浴場までの所要時間が約60分短縮。そのため平均滞在時間が約70分増加し、訪れた利用者からは「短時間で来られるようになり、海水浴が楽しめた」など歓迎する声が多く聞かれた。

また、福井県嶺南地域の主要観光地では、全通前との比較で来場者が約9%増加。観光消費額も1年間で約7・4億円増加した。

小浜~敦賀間の開通後1年の交通量は平日5400台/日、休日7500台/日で、全日6100台/日だった。

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