高速道路暫定2車線区間事故防止対策 23年度から区画柵に新技術

国土交通省は6日、第6回「高速道路の正面衝突事故防止対策に関する技術検討会」(委員長=桑原雅夫東北大学大学院情報科学研究科教授)を開催。高速道路の暫定2車線区間を隔てる区画柵に新技術を導入することが確認された。対象は橋長50㍍以上の長大橋梁とトンネルの区間。床版や中央排水工といった地中構造物を傷めないタイプの区画柵を2023年度に全国で試行設置する方針。

従来、暫定2車線区間の中央分離帯にはラバーポールが使われているが、正面衝突事故のリスクが大きい課題があった。国交省では17年以降、より安全性の高いワイヤロープへの付け替えを推進。但し橋梁やトンネルでは、床版や中央排水工のような地中構造物を傷めずに支柱を設置するのが難しいと指摘されていた。これを克服するための新技術の導入について、同委員会で検討を行ってきた。

新たに試行設置するのは2技術で、連続する2本のビーム(丸型鋼管)で構成する鋼製補強体を連結させてアンカーボルトで固定する「センターパイプ」と、鉄筋コンクリート製の壁部材を継手で縦断方向に連結して舗装面に設置する「センターブロック」。

21年度、全国の暫定2車線区間の中から道央道、中部横断道、東海環状道、山陽道(宇部下関線)、東九州道より抽出した計約1・2㌔の区間で試行を実施。長大橋梁4カ所約780㍍、トンネル2カ所約440㍍に設置し、走行性、事故防止効果、維持管理性、緊急時対応の4項目を評価した。

車両の走行位置や走行速度は、試行設置前後で大きな変化は見られなかった。運転感覚についてドライバーに調査した結果、ラバーポールに比べ安心感があったと回答した割合は約5割に上った。

長大橋梁の設置区間の除雪作業について除雪車のオペレーターに調査したところ、疲労感や作業時間はラバーポールと変わらず、センターパイプ、センターブロックはワイヤロープより高さが低く「位置が把握しづらい」との指摘もあった。

23年度から長大橋梁、トンネルで2技術の試行設置箇所を拡大する。長大橋梁は暫定2車線区間の1割に当たる約12㌔、トンネルはC・D等級で設置可能な箇所約1㌔を対象。その後、第7回委員会での検証を経て長大橋梁は本格設置を予定。トンネルはB等級以上に試行設置を拡大していく。

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