2011年1月 全高速トピックスバックナンバー

原則無料化財源債務利払費活用を検討2011年02月05日

高速道路の原則無料化の財源として、日本高速道路保有・債務返済機構が執行する建設債務の利払費を活用する案が出ていることについて、津川祥吾国土交通大臣政務官は「償還計画の中での金利の計画と実績に差が出ていることについて、議論しているところ」として、現在検討中であることを認めた。

先月27日の政務三役会議後の会見で、津川政務官は「今後の交通量の見直し、あるいは金利の今後の変動等もあるので、今の段階でどのような扱いにするか、決定しているわけではない」とした上で、財源規模について「有利子債務が約30兆円で、21年度の残高金利は計画で2%、実績で1・6%。調達金利が計画で4%、実績で1・5%となっており、約30兆円を元に単純に計算すると、約7000億円」と語った。

但し、「当初あった金利の差がそのまま続くという考えは償還計画上、必ずしも適当ではない。当然見直しの議論になってくると思うが、リスクも含め検討していきたい」と慎重に対応していくことを強調した。

橋本昌茨城県知事「圏央道への有料道路事業活用による整備促進」で要望2011年01月28日

橋本昌茨城県知事は1月28日、国土交通省を訪問し、大畠章宏大臣と面会。茨城県の重要課題である「圏央道への有料道路事業活用による整備促進」などの要望を行った。橋本知事は「用地買収は、県と地元が全面的に協力する」とした上で、(仮)五霞IC~つくば中央IC間の前倒し開通も含め、事業中区間について有料道路事業を活用した早期完成を訴えた。

 

 

当日は大畠国交相のほか、小泉俊明大臣政務官をはじめ県選出の国会議員として郡司彰参議院議員、藤田幸久参議院議員、石津政雄衆議院議員、福島伸享衆議院議員も同席。圏央道を軸とした今後の地域振興等についても意見が交わされた。

橋本知事は「圏央道は県勢の発展や地域活性化に不可欠な基幹インフラ。既に沿線地域では全線開通を見据えた企業立地が進んでおり、1日も早い東北道~東関東道間の開通が喫緊の課題となっている」と要望の趣旨を説明。

更に「しかし、現在事業中の東北道~つくば中央IC間と稲敷IC~東関東道間については、未だに有料道路事業が導入されていないことから、開通時期の遅れが懸念される。これまで以上に整備のスピードアップを図り早期に開通させるためには、事業中のすべての区間について早期かつ最大限に有料道路事業を活用し、事業の促進を図る必要がある」と提言し、「圏央道の用地買収は、県と地元が全面的に協力する。(仮)五霞IC~つくば中央IC間については、平成26年度以降ではなく、早期開通をお願いしたい」と要請した。

これに対し、大畠国交相は「県と地元が地均しをすることが重要。要望については承った。しっかり対応していく」と理解を示した。

東海北陸自動車道4車線化を要望2011年01月25日

岐阜県の古田肇知事は20日、国土交通省を訪ね、新たに就任した大畠章宏国土交通大臣と面談し、東海北陸自動車道(白鳥IC~飛騨清見IC間)の4車線化、東海環状自動車道西回り区間の整備及び有料道路事業の実施等について要望した。

古田知事は、全長160㌔の東海環状自動車のうち、未開通となっている西回り区間の早期整備を具体に要請。中でも(仮称)養老JCT~(仮称)大垣西IC間については、平成24年9月開催の「ぎふ清流国体」までに開通するよう要望した。更に、早期整備と事業費確保のため有料道路事業を実施するよう訴えた。

また、東海北陸自動車道についても、第四回国土開発幹線自動車道建設会議で了承を得ながら執行停止となっている白鳥~飛騨清見間41㌔の4車線化について、地方の負担が発生しない手法により早期整備されるよう要請した。

さらに、来年度から始まるひも付き補助金の一括交付金化についても、配分基準を早期に明示するよう求めた。

新名神高速道路期成同盟会が提言2011年01月25日

新名神高速道路建設促進期成同盟会と、新名神高速道路三重・滋賀建設促進県民協議会の会長を務める野呂昭彦・三重県知事は21日、沿線首長らとともに民主党陳情要請対策本部の風間直樹副本部長と、国土交通省の津川祥吾・政務官を訪ね、「三重、愛知、滋賀県は製造品出荷額のトップ3」と述べ、「移動効率を高めるためにも、新名神高速道路の前倒し開通と全線早期整備を進めてほしい」と提言した。

まず野呂知事は、平成20年2月の開通で、亀山JCT~草津田上間の交通量が予想を大幅に超えて伸びたことを説明。これに接続する四日市~亀山間が未完成であることから、「東名阪自動車道四日市IC付近で大渋滞が起きている」と指摘。同行した首長からも口々に、「交通量は既に飽和状態にあり危険」、「西への移動は時間が読めない」などの意見が出された。

風間副本部長は、「優先順位の高さは認識している。党として国にしっかりと話を伝えるとともに、前倒し完成についてもできるだけ要望に応えたい」と述べ、津川政務官も「渋滞は私も困ったことがある」と理解を示した。

提言は、▽四日市~亀山間の早期完成▽「当面着工しない区間」である「大津~城陽」、「八幡~高槻」間の早期着工▽亀山西JCTフル化▽真に必要な道路の整備を着実に進めるための安定的かつ確実な道路財源確保▽地方の実状を反映した道路評価手法の確立▽スマートICの追加など、高速道路網の有効活用・機能強化を図る措置を講ずることなど6項目。

全高速会長・年頭所感2011年01月15日

平成23年の年頭に当たり、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

全国高速道路建設協議会の諸活動につきましては、常任世話人国会議員の諸先生方をはじめ47都道府県知事、議会議長、関係市長の皆様には大所高所から多大なご尽力やご指導を賜り、厚く御礼申し上げます。

高速自動車国道を核とする高規格幹線道路網1万4000kmを、国家戦略として重点的に整備することは地方の総意であるにもかかわらず、未だ全国に多くの高速道路空白地域が残されているのが現状です。特に地方部では、道路公団民営化など制度変更のたびに待たされてきた経緯があり、整備の遅れは国際競争力の低下や、過疎化問題など地域間格差を助長する一因ともなっており、国土ミッシングリンクの解消は地方の切なる願いであります。

こうした中、昨年末から日本列島は強烈な寒波に見舞われ、日本海沿岸は予想を遙かに超える積雪によって、一部で国道の機能が麻痺するとともに住民生活にも多大な影響を及ぼすこととなりました。こうした区間においても並行する高速道路等の整備が進めば、影響を最小限に抑えられると考えます。

政府においては、高速道路利便増進計画の見直し等に伴い、高速自動車国道法改正案、並びに道路整備事業財政特別措置法改正案を昨年末の臨時国会に提出したものの、現下のねじれ国会のもと、改正案は廃案となり、新規路線の計画決定もできない状況となっております。

一方、昨年11月には高速自動車国道の基本計画区間の一部について計画段階評価の対象となったことや、年末にはスマートICの整備に向け手続きが再開されるなど、明るい兆しも現われつつあります。

しかし、検討することとしておりました今後の高速道路整備のあり方については、未だその方向性が示されておらず、地域振興の柱として高規格幹線道路網の構築を切望する地方では、大きな不安を感じております。

政府が掲げる地域主権を実現するためにも、高規格幹線道路の早期ネットワーク化は必要不可欠であり、当協議会では昨年12月、こうした地方の不安を訴えるべく、国土交通大臣並びに民主党本部に対し緊急提言を実施しました。

厳しい経済環境が続く中、今こそ地域経済の浮揚策として、真に必要な社会インフラである高規格幹線道路網の着実かつ早期の整備が求められており、本年も会員であります全国46期成同盟会とともに所要の予算確保等に向け、政策提言など諸活動を展開して参る所存です。

関係各位の今後一層のご指導、ご支援をお願い申し上げ、年頭のあいさつとさせていただきます。

全高速が47都道府県知事と6市長の“声”を緊急提言(12月15日)2011年01月11日

全国高速道路建設協議会(会長・横内正明山梨県知事)は15日、馬淵澄夫国土交通大臣と民主党本部に対し、社会資本の要である高規格幹線道路網の早期ネットワーク化、国土ミッシングリンクの解消等を求める政策提言を実施。地方の総意としてまとめられた全高速提言書と47都道府県知事等の提言書を提出した。横内会長は「整備のあり方を早期に」と要請し、馬淵大臣も「自治体の意見を踏まえ真剣に議論したい」と応じ、一定の理解を示した。

大臣室に入室後、横内会長と上月良祐茨城県副知事、西藤公司岐阜県副知事は馬淵国交相に全高速提言書等を手渡し、がっちり握手。意見交換に移った。

横内会長は「高規格幹線道路のネットワーク化は救急搬送時間の短縮や緊急輸送ルートの確保等の〝命の道〟として、更には地域経済の活性化、観光立国にも資するものであり、国土ミッシングリンクの早期解消等は地方の切なる願いだ。しかし、政策方針が示されず地方は今後の行方を大変心配している」と提言に至った経緯を説明。「高速道路関連法案も先の国会で廃案となり、今後の整備のあり方についても未だ方向性が示されていない。また、政府が実施したパブリックコメントで国土ミッシングリンクの解消が国民から9割を超える支持を得たにもかかわらず、道路整備事業予算の更なる削減が示唆されるなど、地方は強い危機感に包まれている」と訴えた。

その上で、横内会長は整備のあり方や料金問題について「地方の意見を十分受け入れた上で、早急に方針を示してほしい」と要請。第4回国幹会議で決定した新規整備区間、4車線化区間の早期事業着手を求めたほか、国土ミッシングリンクについては「速やかに環境アセスなど手続きを進めて、事業化に向けた準備を進めるべき」と提案。「現在、事業中区間については整備のスピードを更に上げ、未開通区間については地域活性化を促す意味から、供用までの工程表を早期に示してほしい」と要請した。

続いて、上月茨城県副知事は重要港湾群である鹿島港と茨城港とアクセスすることで国際競争力が飛躍的に高まる東関東道水戸線(潮来~鉾田間)と圏央道の早期整備の必要性を訴え、西藤岐阜県副知事は昨年の補正凍結で事業化が宙に浮いている東海北陸道の4車線化事業の早期着手を要請。更に東海3県1市の悲願である東海環状道についても「関広見~四日市北間の事業促進を図り、全線開通を早期に達成すべき」と訴えた。

馬淵国交相は「47都道府県知事からいただいた提言は重い」とした上で、「国幹会議で決まった区間の整備については、キラーパスのつもりで法案を出したが適わなかった。それは国会の意思として受け止め、知恵を出していかなければならない」。

更に馬淵国交相は「国民の代表である国会での審議、そして第三者機関である社整審での決定、更には地元自治体の皆さんからの意見を承る3段階スクリーミングで真に必要な社会資本整備を進めていきたい」と自身の考えを説明。「限られた財源の中、提言を踏まえ議論していきたい」と述べた。

提言後、囲み取材に応じた横内会長は「現在、国の高速道路政策がペンディング状態となっていることで、地方は大いに不満に思っていることは伝わったと思う。馬淵国交相は新しいルールづくりに向け、地方の意見を踏まえ熱意を持ってやっていただけると思う」と記者団に語った。

全高速緊急提言

国土交通大臣要望に先立ち、横内正明全高速会長(山梨県知事)と上月良祐茨城県副知事、西藤公司岐阜県副知事は、国会内で民主党要望を実施。山根隆治参議院議員(企業団体対策委員長)、中川治衆議院議員(企業団体対策委員会副委員長・国土交通関係)と面談した。

全高速提言と47都道府県知事の提言書を山根委員長、中川副委員長に手渡した横内会長は「地方は大きな不安感に包まれている」とした上で、高速道路関連法案の廃案により宙に浮いた第4回国幹会議で採択された整備区間と4車線化区間の事業、更には見通しが立たない整備のあり方問題に対し強い懸念を示し、与党のリーダーシップ発揮を求めた。

「47都道府県知事の意見、提言は非常に重い」と応じた山根委員長は「コンクリートから人へと言っても必要なコンクリートもある。地域経済のため、生活のために道路整備は必要というのが基本的な考え方。限られた財源の中で、何とか経済を浮揚させた上で、皆さんの提言に一日も早く答えられるようにしたい。日々の要望の中で地域の熱い思いは十分理解しており、政府へも全高速提言を伝えたい」と語った。

また、中川副委員長は「高速道路(整備の)案件は年を越して議論していくということで、現在作業の最中だ。最終的には財源をどうするのかが大きな課題であり、どうしたら解決できるか、もう少し幅を広げて思い切って議論をし、党として早く知恵を出したい」と述べ、与党として取り組んでいく姿勢を強調した。

更に、意見交換の中で、中川副委員長は「小泉政権時、(高速道路債務を)45年で償還するスキームが出来たが、高速道路は整備すれば百年は持つと言われており、それを果たして45年で償還するのが適当かという議論もある。財務省が怒るかもしれないが、例えば60年償還もあり得るなど、そうしたことも含め、工夫次第ではいろいろと知恵が出てくるはずだ」と発言。

これに対し、横内会長は「それは期待できる議論」と応じ、地方の意見を十分踏まえた議論の展開を強く求めた。

全高速緊急コメント(PDF)

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