2011年5月 全高速トピックスバックナンバー

社整審の審議本格化8月中に重点計画見直しの中間案2011年05月25日

国土交通省では、東日本大震災後の社会資本整備のあり方に向けた検討が本格化している。18日には、国交相の諮問機関、社会資本整備審議会と交通政策審議会の合同会議を開催し、8月中に重点計画見直しの基本方針等を盛り込んだ中間とりまとめを提出することが確認。23日に行われた道路分科会では、主要テーマごとに基本政策部会を立ち上げ、道路が持つ主要テーマごとに検討を進めていくことを決めた。

合同部会では冒頭、大畠章宏国交相は「国民の命を守ることを旗に掲げて取り組んできたが、残念ながら命を守ることができなかった。今後、東京直下型、更には東南海地震等が想定される中、インフラ、ソフト両面で明日の日本へ光を見出せる展望を示してほしい」と挨拶。災害に強い社会資本整備の検討を要請した。

続いて、挨拶した小泉政務官は「今回の震災で、社会資本整備がいかに国民の命に直結することが分かった。小泉内閣以降、公共事業費は削減の一途をたどったが、この流れを大きく変える転換期を迎えている」として、今後の重点計画見直しに強い意欲を示した。

この後、行われた意見交換では、越澤明委員が「今後の社会資本整備を考えた場合、新規に造るものは唯一、道路だけだろう。中でも、三陸縦貫道は緊急性を要する」と指摘。国で明確な方針を示すよう求めた。

23日の道路分科会では、今後の道路政策の基本的方向について検討。基本政策部会の設置と、事業評価部会の所掌事務改正を決めた。

審議の中では、各委員より、高速道路を含む道路整備のあり方について活発な意見交換が行われた。

菊川道路局長は、東日本大震災で三陸縦貫道が供用されていない地域で人命の多くが失われた現実から「B/Cを基準にした現行の優先順位の付け方が果たして良かったか、反省している」と発言。高速道路有識者委員会の委員を務める家田分科会長、太田分科会長代理、石田委員、竹内委員からも「災害時、中央分離帯の無い暫定2車線より、路肩の有る地域高規格道路の方が(緊急車両の通行等で)使い勝手が良い場合もある」、「1万4000㌔目標は基本的に正しいが、これまで手順が悪かった。胆力のいる議論だが、整備費用の負担について改めて再確認する必要がある」、「国土軸、リダンダンシーの考え方として、1万4000㌔をそのまま踏襲するのではなく、国幹道、地域高規格を含め議論する必要がある。今後の財源問題も絡み、ロードプライシングについて真剣に検討すべき」、「現在のミッシングリンク区間を見ると、相当の地域で震災が想定される。地域の安全保障とセットで考えないと、本当のグランドデザインは描けない」など、様々な課題が指摘された。

第2次補正で三陸縦貫自動車道事業化へ2011年05月24日

大畠章宏国交相は、24日に行われた衆院復興特別委員会で、被災地の太平洋沿岸部の南北を貫く三陸縦貫自動車道の全線事業化を目指す考えを表明した。

自民党の小野寺五典衆院議員への答弁の中で「残る56㌔の事業化を真剣に検討する」と発言。2011年度第2次補正予算案への計上に向け、準備を進める。

事業評価部会所掌事務改正-社整審道路分科会ー2011年05月23日

社会資本整備審議会道路分科会(分科会長・家田仁東大大学院教授)は23日、国交省内で第13回分科会を開き、事業評価部会の所掌事務改正案を了承した。

現行では「直轄事業等の事業評価にあたり意見を聴取すること等を目的として設置する」となっている事業評価部会の所掌事務を、今後想定される合併施行等も見据え「直轄事業等の事業評価及び事業手法について意見を聴取すること等を目的として設置する」(太字部分を追加)に改正する。

27日には所掌事務改正後、初の事業評価部会が行われ、首都圏中央連絡自動車道・久喜白岡JCT~つくば中央、同・稲敷~大栄JCT、東海環状自動車道・関広見~四日市北JCTの3区間について、事業主体、施行区分等を審議する予定。

和歌山県、岐阜県知事が提言-第3回高速道路あり方有識者委員会-2011年05月19日

高速道路のあり方検討有識者委員会(寺島実郎座長)は19日、第3回会合を開き、仁坂吉伸和歌山県知事、古田肇岐阜県知事からヒアリングを行った。

仁坂和歌山県知事は、諸外国に比べ遅れている日本の高速道路整備水準を指摘した上で、これまで大都市と国土軸を中心に整備が進められた結果、一部の地方が高速道路空白地域として取り残されている現状を説明。「高速道路整備が遅れた地域はチャンスを失われている」として、従来のB/Cの問題点等を指摘した。

一方、古田岐阜県知事は、中部圏の高速道路ネットワークの現状を説明した上で、①ネットワークの重要性と活用②災害時の代替路としての有用性③暫定2車線の問題点④高速道路の整備手法と地方財政⑤無料化――の5点を論点に掲げ、早期ネットワーク化を実現するためにも有料道路事業の導入等について訴えた。

橋本昌・茨城県知事が緊急要望ー圏央道の早期全線開通を-2011年05月16日

橋本昌・茨城県知事は16日、大畠章宏・国交相、池口修次・国土交通副大臣、小泉俊明・国土交通大臣政務官に、圏央道の早期整備に関する緊急要望を行った。

東日本大震災で高速道路が果たした役割を受けて、首都直下地震などの災害時における緊急輸送路としての機能や、平常時の都心への交通分散機能を有する首都圏中央連絡自動車道の一日も早い全線開通を求めるもので、「事業中区間の早期完成のため、久喜白岡JCT~つくば中央(延長48㌔)、稲敷~大栄JCT(延長21㌔)に有料道路事業を早期に導入すること」などを訴えた。

さらに橋本知事は、「進出を決めてくれた企業に大きな影響が出ないよう、1日も早く開通させてほしい」と要請した。

小泉政務官同席のもと面談した大畠国交相は、「震災を契機に、災害時の高速道路の重要性を再認識しており、圏央道についてはきっちり対応したい」と話し、池口副大臣は、「圏央道は、合併施行により最優先で整備して行きたい」と述べた。

東関東道館山線/東京湾環状道路期成同盟総会2011年05月15日

東関東自動車道館山線建設促進期成同盟会(会長・石渡哲彦千葉県副知事)は去る10日、千葉市内で平成23年度総会を開催。首都圏中央連絡道に連結する館山線が暫定2車線で供用している現状を早期に解消、完全4車線化実現へ向け一層の整備推進を求める要望書を全会一意で採択、国へ強く働きかけていくことを決めた。

会場には、来賓の猪口邦子参議院議員をはじめ地元選出国会議員の代理、沿線の関係市町村長ら約100人が出席。

まず同会会長の石渡千葉県副知事が「本道は、首都圏中央連絡自動車道等と広域的な道路ネットワークを構成する千葉県にとって極めて重要な路線。東京湾アクアラインの料金引き下げ等により交通量が増加、渋滞発生、円滑な通行に支障を来たしている。4車線化事業に必要な高速道路関連法案が廃案となり、不透明な状況にある。南房総地域の多様で豊かな自然環境を活かした観光や農水産業の振興を推進する上でも4車線化整備を急いで欲しい」と挨拶。

続いて来賓の猪口参議院議員が「私は高速道路を愛し、よく利用させていただいている。全般的に整備が遅れている現実を認めざるを得ない現状を早期に打開すべきだ。千葉県の発展の為にも政治力を結集し頑張って参りたい」と決意を述べた。

東京湾環状道路並びに関連道路建設促進期成同盟(会長・石渡哲彦千葉県副知事)の通常総会が去る10日、千葉市内で開催された。先の東関東道館山線に続いて開かれ、京葉臨海コンビナートや大規模集客施設などの都市機能が集中している地域を産業・生活両面でさらに充実させ、交通の円滑化を図るため、東京湾岸道路の早期建設は不可欠とする23年度事業計画採択、国会及び関係省庁へ要望活動を実施していくことを決めた。

船橋市長をはじめ沿線の関係市長、地元経済界、立地企業の代表ら約100人が集結。

まず石渡会長がこれまで渋滞対策として進めていた立体事業や東京湾岸道路に接続する東京外郭環状道路の整備現況を述べた後、「県としては厳しい財政状況にあるが、財源確保に努め地域の声を反映した真に必要な道路整備を積極的に進めて参りたい」と決意を述べた。

参列者一同は、東京湾間道路に接続する関連幹線道路網の一層の整備促進を誓い、総会を終了した。

進む包括協力協定島根・徳島県と調印2011年05月15日

<島根県>

島根県とNEXCO西日本は4月28日、防災・災害対策や環境・観光振興など7分野の包括的相互協力協定を締結。あわせて大規模災害発生時における相互協力に関する協定も結んだ。

県庁で行われた調印式では、溝口善兵衛知事が、「観光に力を入れる我々にとってありがたい。双方の利益にかなう」とあいさつ。NEXCO西日本の西村英俊社長も「近畿から九州までの全域でPRできる」とし、大規模災害発生時の協定についても「東日本大震災では高速道路が1日で開通し、救援に役立った。速やかに災害から脱出できる体制をつくりたい」と話した。

島根県では来年の「古事記編纂1300年」にちなみ展開している観光キャンペーンや災害時の対応などに期待を寄せる。具体策は今後まとめる予定だが、観光振興では県の観光情報や県産品の販売、県産材を使ったベンチの設置に協力。一方、防災・災害対策では情報共有や、緊急車両の通行、資機材の輸送の円滑化を進める方針。

<徳島県>

徳島県とNEXCO西日本は9日、大規模災害時と平常時の高速道路利用者の観光振興などを図るため、「包括的相互協力協定」を締結した。

県は、2007年に同社四国支社、先月には本州四国連絡高速道路とそれぞれ災害時の協力協定を締結していたが、平常時を含む協定の締結は、今回が初となる。

協力事項は①防災・災害対策②観光・文化・産業の振興など地域社会の活性化③環境保全④交通安全⑤高速道路等の利便性向上・利用促進⑥技術交流⑦その他目的に沿うの7項目。

県庁で行なわれた締結式で、飯泉嘉門知事は「東日本大震災では、高速道路が防波堤の役割を果たしたが、災害時のみならず平時から関係を広げ、地域の発展に協力してほしい」と挨拶。さらに、のり面の外側を盛り土で平らにして、新たに避難所として活用できると提案した。NEXCO西日本の西村英俊社長も「平時からの交流が災害時にも役立つ」と期待を述べた。

早期建設推進を求める鹿児島県高規格幹線道路建設促進協議会総会2011年05月15日

鹿児島県高規格幹線道路建設促進協議会(会長=伊藤祐一郎県知事)は4月20日、鹿児島市のホテルウェルビューかごしまで平成23年度総会を開催。

当日は知事や地元県議会、沿線市町長ら約45人が出席、同月13日に行なわれた幹事会で審議された22年度事業報告や収支決算報告などを承認、23年度事業計画案、予算案をそれぞれ原案通り可決した。

南九州地域の高規格幹線道路網の整備にあたっては、地方負担を極力軽減しつつ、国の責任において計画的に整備推進し、24年度予算において、地方の声や実情に十分配慮し、所要の予算を確保すること等を国等に対し要望していく方針をまとめた。特に東九州自動車道の建設促進(志布志~曽於弥五郎間の早期完成)、南九州西回り自動車道(芦北出水道路、出水阿久根道路及び川内隈之城道路の早期完成)等の建設推進を求めていく。

また、伊藤知事は、東日本大震災の発生による国費5%留保などの状況を受け、産業構造による変化に懸念、「不透明な要素があるが、高規格幹線道路の整備に向け努力したい」と述べ、国に対し強く要望していくことを強調した。

早期全線整備に向け「のぼり」など作成2011年05月15日

京都縦貫自動車道・新名神高速道路等整備促進協議会(会長=山田啓二・京都府知事)は、京都縦貫自動車道と新名神高速道路の早期全線整備に向け、PR用の「のぼり」と「マグネットシート」を作成した。

京都縦貫自動車道は、京都府域を結ぶ背骨というべき重要な南北高速縦貫軸で平成26年度の全線供用に向け整備が進められており、全線供用は京都府民20年の悲願。

また、新名神高速道路は、関西圏と中部・首都圏を結ぶ新たな国土軸で、「城陽・八幡間」については平成28年度の供用に向け整備がすすめられているものの、「大津・城陽間」「八幡・高槻間」が「当面着工しない区間」に位置付けられており、国土ミッシングリンク解消のため、一日も早い着工が熱望されている。

「のぼり」と「マグネットシート」のデザインには、今秋に京都で開催される第26回国民文化祭のイメージキャラクター「まゆまろ」を使用。府内の全市町村や関係機関に配布し、窓口などに置いてもらうとともに、今後、様々な機会でPRに活用していくこととしている。

第2回「高速道路のあり方検討有識者委員会」ヒアリング2011年05月15日

国土交通省は11日、「高速道路のあり方検討有識者委員会」(座長・寺島実郎日本総合研究所理事長)の第2回委員会を開催。地方からのヒアリングとして、横内正明山梨県知事(全高速会長)、篠田昭新潟市長から意見聴取した。この中で、横内会長は「全国知事の最大公約数的な意見」として、ミッシングリンクの解消等による高規格幹線道路1万4000㌔のネットワーク化の必要性を指摘。路線ごとの整備に向けた工程を早期に示すよう要請した。

 

第2回有識者委員会の冒頭、池口修次副大臣が挨拶に立ち、2日に成立した震災復興に向けた第一次補正予算について「その中で、無料化社会実験を一時凍結し、約1000億円を東日本復興のためにまわすということ。更には高速道路利便増進事業についても一部料金割引を廃止し、2500億円を復興にまわすことが成立した」と報告。「今後とも、東日本の復興を進めなければならないという立場で取り組んでいる。東北地方の復興を助ける上で、高速道路の無料化をどうするのかということを検討している。また、前回委員会で、寺島座長から事実関係の把握が重要との指摘をいたただき、今回、ヒアリングを行うことになった。日本の将来を見据えたあり方検討に向け、活発な議論をお願いしたい」と語った。

委員会のヒアリングには、国交省から大畠大臣、池口副大臣、津川政務官、小泉政務官、全高速会長の横内正明山梨県知事、篠田昭新潟市長が出席。横内会長は、安全安心のための高速道路ネットワークの早期構築の必要性を説明。将来の料金制度についても言及し、「高速道路は、本来一般道路に比べ、高速性・安全性・定時性等に対する信頼性が高くなければ、その役割は果たせない。そのためには、受益者負担の原則に則り、将来とも有料としておくことが必要」とした上で、「将来の制度については、例えば維持管理有料制度の導入など、新たな料金体系を検討すべき」と提案した。

更に、横内会長はスマートICの効用と財源確保、休日1000円と無料化社会実験の功罪等についても指摘し、寺島座長ら出席委員の質問に応じた。

篠田新潟市長は、今般発生した東日本大震災で見えてきたロジスティクスの現状を指摘。日本海東北自動車道をはじめ、途切れた状態にある高規格幹線道路ネットワークの問題点等を指摘した。

この後、菊川滋道路局長が、最近の高速道路関係の状況を説明。休日1000円、無料化実験結果の概要等も交えながら、意見交換が行われた。

会議終了後、囲み取材に応じた横内会長は、記者団に「全国知事の高速道路整備に対する最大公約数的な考え方、ミッシングリンクの解消による早期ネットワーク化についてお話させていただいた」と報告。「高速道路がいつできるか分からないと地域づくりの構想が出来ない。整備のあり方をしっかりと決め、地域づくりのためにも具体的に路線ごとにタイムスケジュールを明らかにしてほしい」ことを要請したことを明かした。

中部縦貫自動車道「大野油坂道路」-初めての幅杭打ち式-2011年05月12日

中部縦貫自動車道(長野県松本市~福井県福井市・延長160㌔)を構成する「大野油坂道路」で今月12日、初めての幅杭打ち式が行われた。大野油坂道路は、大野(福井県大野市中津川)~油坂峠(同市東市布)を結ぶ延長32㌔。このうち、大野東(同市下唯野)~和泉(同市貝皿)間延長14㌔が、平成21年3月に事業化。道路構造など設計概要が固まったことから、杭打ちの段階に入ったもの。

杭打ち式は、大野東IC予定地近くの農道で行われ、各地区の代表ら約50人が出席。岡田高大・大野市長、黒原孝雄・中部縦貫自動車道大野油坂道路整備促進連絡協議会長らが、「尽力いただいた関係者、力強い後押しをしてくれた市民に感謝する」、「杭打ちをスタートとし、全線開通に向けスピード感を持って取り組みたい」と挨拶した。

当日は、地元蕨生小学校の全生徒25人が「子ども杭打ち隊」として打設に参加。「1、2、3」の掛け声に合わせ、元気に杭を打ち込んだ。

福井県高規格道路推進課によると、「大野東~和泉間は約10年後の供用開始を目指しており、開通時期には自動車免許を取得する年齢になる将来を担う子どもたちに関心を持ってもらい、開通時には真っ先に利用してもらいたいとの思いから、地元児童に参加をお願いした」と話している。

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