三陸沿岸道路12月18日普代~久慈間開通で全通 ”復興道路”震災から10年で完成

仙台市と青森県八戸市を結ぶ三陸沿岸道路の最終区間、普代~久慈IC間(延長25㌔)が昨年12月18日、開通した。前日の17日にみやぎ県北高速幹線道路の佐沼工区(延長3・6㌔)も開通し、これにより東日本大震災のリーディングプロジェクトとして、国土交通省東北地方整備局などが整備を進めてきた「復興道路・復興支援道路」の総延長570㌔が全線開通した。震災発災から10年を経ての完成に向けては、全国初の官民一体マネジメントシステム「事業促進PPP」の導入や復興道路会議の設置など様々な工夫が施され、異例のスピード開通を実現した。

12月18日、三陸沿岸道路・仙台~八戸の全線開通を祝して、岩手県久慈市市民体育館で行われた式典には斉藤鉄夫国交相、西銘恒三郎復興相、鈴木俊一財務相、達増拓也岩手県知事、沿線市町村長ら約90人が出席。災害時のリダンダンシーの確保のほか、産業や観光の振興など地域活性化に向け、思いを一つにした。

式典では、斉藤国交相が「三陸沿岸地域が日本全国と高速道路ネットワークで結ばれた。日本有数の漁獲高を誇る海産物が三陸道から新鮮な状態で全国に届けることが出来る」と挨拶。「三陸道は地域産業の活性化や救急救命活動に活用され、東北の復興を力強く支援していく」と述べた。

達増岩手県知事は「縦軸、横軸の新たな高規格道路ネットワークが構築された。今回の開通は、沿岸と内陸が一つになった岩手県が全国と海外と繋がっていく歴史的な出来事だ」と全線開通の意義を語った。

三陸縦貫自動車道、三陸北縦貫道路、八戸・久慈自動車道で構成される三陸沿岸道路は「復興道路」として、「復興支援道路」の宮古盛岡横断道路(宮古~盛岡)、東北横断自動車道釜石秋田線(釜石~花巻)、東北中央自動車道(相馬~福島)ともに、新たに224㌔が2011年11月に事業化。震災前に供用されていたものも含め、今回、待望の全線開通が実現した。

震災前、仙台~八戸間の所要時間は8時間35分かかっていたが、三陸沿岸道路の全線開通で5時間13分と大幅に短縮。沿岸地域だけでなく、首都圏はじめ日本各地との物流を円滑にする効果が期待される。

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