今夏に閣議決定 次期国土形成計画が始動 骨子案で「拠点連結型国土」を提唱

国交相の諮問機関、国土審議会計画部会(部会長=増田寛也日本郵政取締役兼代表執行役社長)は7日、第17回部会を開催。部会では、今夏に策定する次期国土形成計画(23~32年度)の骨子が示された。目指す国土構造として「シームレスな拠点連結型国土」を提唱。リニア中央新幹線や新東名、新名神高速道路等で繋ぐ3大都市圏を「日本中央回廊」と位置付け、回廊と周辺地域を結ぶ交通インフラを強化し、地方活性化や国際競争力の強化を図っていく方針が盛り込まれた。

示された「新たな国土形成計画」骨子案では、現行計画で掲げる「コンパクト・プラス・ネットワーク」の考え方を更に深化する方向性を提示。人口や産業などを全国に分散配置して東京一極集中の是正を図りつつ、交通インフラやデジタル技術で拠点間を強固に接続し、経済活動が滞りなく展開できる「シームレスな拠点連結型国土」の実現を目指すとした。

構想の基幹となるのは、リニアなどで形作られる日本中央回廊だ。骨子案では、リニアや新東名、新名神高速道路に関し、3大都市圏を結ぶ大動脈のリダンダンシーを高めるとして必要性を強調。リニア駅を核に、新幹線や高規格道路による広域ネットワークの形成を推進する方針が明記された。

骨子案では、こうした拠点連結型国土の高速ネットワークが完成すれば「多様な自然や文化を併せ持つ、世界に類を見ない魅力的な経済集積圏域が生まれる」と指摘。拠点連結型国土の形成が世界からヒト・モノ・カネ・情報を呼び込み、日本全体の国際競争力強化につながると期待した。

東京一極集中に伴う巨大災害リスクの高まりにも警鐘を鳴らした。首都直下型地震が発生すれば多数の人的被害が発生し、サプライチェーンなど経済面でも広域で長期の甚大な被害が想定される。企業の本社機能の地方移転を促すため、地方で本社機能立地を誘致する環境整備を推進することも示された。

今後、計画部会ではパブリックコメント、自治体からの意見聴取等を行い、5月中にも計画原案を取りまとめ、国土審議会に上程。ここでの審議を経て政府に答申し、今夏にも閣議決定される予定となっている。

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