4車線化優先整備区間880㌔発表 9月4日幹線部会 10~15年の完成を目指す 財源の確保状況踏まえ順次事業化

社会資本整備審議会・道路分科会の第35回国土幹線道路部会(会長=朝倉康夫東京工業大学環境・社会理工学院教授)が4日、国交省内で行われ、「高速道路における安全・安心基本計画(案)」について審議。併せて、計画案の具体施策「暫定2車線区間の解消」として実施する122カ所、約880㌔の4車線化の優先整備区間を決めた。今後は、財源の確保状況や高速道路会社の意向、社会的な要請や政策的な課題を踏まえ、順次事業化を図っていく。

優先整備区間の選定にあたっては、有料高速道路の暫定2車線2533㌔のうち対面通行区間約1600㌔を、時間信頼性の確保、事故防止、ネットワークの代替性確保の解消すべき課題3点の指標に基づき評価。各指標で課題が大きいとされた箇所で重複したところを省いた約880㌔を4車線化の優先整備区間とした。

総事業費は、1㌔当たり50億円として約4・4兆円と試算。概ね10~15年の完成を目指す。優先整備区間の事業化にあたっては、「財源の確保状況を踏まえ」とされた。

社会的要請の高い暫定2車線区間の4車線化については、18、19年度予算では、長期的に低金利で固定できる財政投融資を活用。2年間で総額2兆5000億円を日本高速道路保有・債務返済機構の借り換えに充てたことで、1兆7000億円の投資余力が生まれた。

金利は景気動向に左右されるため、今後、4兆4000億円が確実に確保されるか不透明であり、着実に優先整備区間を整備していくためには、いかに財源確保に目途をつけていくかがポイントとなる。

4車線化の事業完了には、一般的に5~7年、橋梁やトンネル等の構造物の整備が伴う場合10年程度要する。この間、対面通行区間における当面の緊急対策として、ワイヤロープ等を設置し、安全・安心の確保を図る。

土工部のワイヤロープは、4車線化等の事業中箇所を除き、23年度内に設置を完了する予定。中小橋や長大橋、トンネル区間の安全対策については、引き続き技術的な検証を進め、本格設置に取り組む方針だ。

暫定2車線区間の優先整備区間一覧

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